スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ツが三つの世界

59:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:20:16.02 ID:uRfV8Ob00downup

>>57

3年くらい前かな?確か半そで着てたし夏だったと思う。
当時俺は、大学出て社会人になったばかりで、けっこう精神的に参ってた時に高校時代の友人Aから電話があった。

友人A曰く「俺も大学出てから精神的に参ってたけど○○っていう自己啓発系のセミナーですっごい気が楽になったよ」との事。

まぁ胡散臭いがAは高校時代から宗教にハマるタイプじゃなかったし
最悪社会勉強になればいいか程度の気持ちでAと待ち合わせてセミナーに行く約束をした。

駅からAの車で1時間くらい走ってそのセミナーに行ったんだが
一見工事現場とかによくありそうなプレハブ小屋が山の中に立ってて
Aと俺が車から降りるとスーツを着た人たちが迎えてくれた。

なんでもそのスーツの人たちもセミナーの受講者らしいんだが休日を返上してセミナーでボランティアをやっているそうだ。
俺はもうセミナーの胡散臭さと気持ち悪さで逃げ出したかったが
Aの車で来てる以上走って逃げ出すわけにもいかず、しぶしぶAのあとについて建物の中にはいっていった。


60:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:24:38.15 ID:uRfV8Ob00downup

改行してなくて読みにくくてすまん

そのセミナーは紹介した人間が参加料金を払うというシステムらしく
Aが受付で俺の分の料金を払っているのをボーっと眺めていると先ほどの
スーツ男が「新嬉の方はこちらです」と俺をパーテーションの中に案内した。

パーテーションの中には椅子型のマッサージ器をもっとゴツくしたみたいな感じのリクライニングチェアまで案内された。
なんでもその椅子に付属されたスピーカーで左脳を刺激して脳を活性化させるらしい。

正直もーなんとでもなれと思い椅子に座るとスーツ男が俺の隣りにあったスピーカーと加湿器のスイッチを入れて
「呼吸を楽にして下さい、時間が来たら起こします」
と言ってパーテーションから出て行った。

なんでこんなことになっちゃったんだろーなーと思いつつ天井を眺めてると2~3分くらい経つとやたら鼻がムズムズしてきてあくびが止まらなくなった。
最初は眠いのかな?くらいに思ってたんだけど尋常じゃないくらいあくびが止まらない
不安になって起き上がろうとすると数人のスーツ男が飛んできて俺を押さえつけた。


61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:27:55.70 ID:uRfV8Ob00downup

椅子のスピーカーからはプツプツという連続音が鳴ってて頭がぐわんぐわんしてやばいやばいと思ったが
あくび止まらないしもうアゴが外れそうなくらいあくびが出て痛かった
口が閉まらない口の両側の皮がプチプチと切れる音がする。

息が出来なかった。
まるで誰かに口を思いっきり拡張されてるみたいな感覚でパニックになって
そこからどうなったのかはよく覚えてないけどおそらく気を失ったんだと思う。

気が付くとまだセミナーの建物の中にいたけど誰もいない。
さっきまであった加湿器とか受付とかパーテーションとかも無くなってて
プレハブの中は俺の座ってたゴツい椅子しか無かった。

空が赤くて朝日なのか夕日なのか分からなかったけど正直頭の中真っ白でわけわかんなくなってたけど
とりあえず「犯された…」みたいな虚しさと悲しさでだんだんイライラしてきて絶対訴えてやる!と思った

どういう精神状態でそうなったか分かんないんだけど証拠として何か持って帰ろうと思って回りを探してたらさっきまで座ってた
椅子にまだCDが残ってた

CDを片手に山の中をウロウロしてどう帰ったのは覚えてない
もう一度行こうとしても難しいかもしれないしもう二度と行きたくない。

それからしばらくフツーに生活してたんだがどうも文字の物忘れやら勘違いが酷くなった。
いや、勘違いと言うよりは以前いた世界と違う場所に来た感覚?っていうの

一番酷かったのはカタカナの「ツ」が以前いた世界だと点が三つだった、
俺の名前に「ツ」がつくからずっと勘違いしてたとは思えないし気持ち悪い。

Aに電話したらケーキ屋さんが出た。
これ書いてたら気持ち悪くなってきた、最近あくびするのが怖い

おわり


62:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:37:56.05 ID:9hNsdvoS0downup

>>61
これ創作?


63:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:40:31.32 ID:uRfV8Ob00downup

>>61
実体験だよ、ちょっと足し引きしてるところはあるけど


64:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:43:18.84 ID:p4oEA3MhOdownup

>>63
事実ならやばくね?なんかお前からおかしい雰囲気とオーラを感じる


65:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:43:30.74 ID:uRfV8Ob00downup

安価間違えた
>>62



66:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:45:08.40 ID:9hNsdvoS0downup

>>63
その後Aとは会ってないの?


67:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:45:36.81 ID:uRfV8Ob00downup

>>64
そうか?たとえばどんな?
確かに三年前からなんか影が薄いとかどこ見てるかわかんないとかよく言われるようになった
文脈でおかしいところがあればぜひ教えて欲しいね


68:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:48:42.41 ID:uRfV8Ob00downup

>>66
会ってぶん殴ってやろうと思ったんだけど
電話つながんないし、家知らないから会ってないなーつーか会いたくない。
ケーキ屋さんが出たところでなんか諦めちゃったんだよな…


69:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:50:16.00 ID:+nk01GCR0downup

>>61
Aの連絡先は調べられないのか?
友人とか名簿とかあるだろう?
あとそのCDは今もあるのか?
他になにか61自身に変わったことは?
質問ばっかで申し訳ないけど気になるんだよ。



70:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:51:16.91 ID:9hNsdvoS0downup

>>68
お前やばいよ。釣りだと思うけど、違うなら心療内科かなんかにいった方がいい。
ツの点々が三つだったことなんて断じてない



71:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:57:33.82 ID:uRfV8Ob00downup

>>69
Aは調べりゃ知人つながりで分かるかも、でも正直怖いんだよな
ぶっちゃけ今はけっこう普通の生活を送れてるし事を荒立てたくないんだよな…
CDは探せばあるかも、ちょっと待ってて

>>70
やばいよなーだよな…
精神科医は一回行ったけどな
ツとシって点の数同じだし分かりにくいから三つの方がよくない?
まぁ俺が間違ってんだけどさ


72:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:59:11.59 ID:9zArq4VZ0downup

CD音源うp
俺も今の世界と違う世界に行きたい



73:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 19:59:19.64 ID:p4oEA3MhOdownup

>>68
なんか文章は普通なんだが心が無い雰囲気だ。
何て言えばいいのかな。「ま、どうでもいいんだけどね」みたいなこと思ってそう。
そのケーキ屋ってのも引っかかる。ケーキ屋…?



74:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:00:44.36 ID:9hNsdvoS0downup

Aと連絡とろうぜ。
何かわかるかもしれんし。



75:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:02:53.52 ID:9hNsdvoS0downup

つか、いまどき、固定電話の連絡先しか知らなかったわけ?
不自然じゃね?
普通大学時代の友人なら、アドレスとケー番くらい知ってるだろ



77:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:06:48.92 ID:uRfV8Ob00downup

CDあった!


78:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:09:41.85 ID:9hNsdvoS0downup

>>77
うp


79:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:11:23.56 ID:uRfV8Ob00downup

>>73
そんなドライじゃないぜ
むしろ当時は変わったことに一々動転してパニックになってた
そりゃあいい大人がカタカナ間違えるんだぜ、泣くに泣けない

>>74
うん、今ミクソで当たってる

>>75
ケーキ屋ってかチェーン店のパ○テルの電話番号になってた
普通090ではじまってなかったらすぐわかりそうなもんだけどな
まぁ不自然といえれればそうなんだが俺の話のどこが自然なんだと逆に聞きたいわ


80:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:11:25.85 ID:0Abbd1GYOdownup

>>77
なんか安部公房思い出した…
ドキドキ


83:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:25:22.27 ID:uRfV8Ob00downup

つべアカウントとるのめんどくせえから
ニコニコでもいいか?


84:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:27:35.36 ID:9hNsdvoS0downup

>>83
おk
できたら外見もうぷしてくれ



85:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/25(金) 20:40:16.13 ID:uRfV8Ob00downup

見れるかな

※動画は追記に格納いたします
 
スポンサーサイト
TAG :
宗教系怖い話
@異世界

地下のまる穴

これは17年前の高校3年の冬の出来事です。

あまりに多くの記憶が失われている中で、この17年間、わずかに残った記憶を頼りに残し続けてきたメモを読みながら書いたので、細かい部分や会話などは勝手に補足や修正をしていますが、できるだけ誇張はせずに書いていきます。

私の住んでいた故郷は、すごく田舎でした。
思い出す限り、たんぼや山に囲まれた地域で、遊ぶ場所といえば、原つきバイクを1時間ほど飛ばして市街に出てカラオケくらいしかなかったように思います。

そんな片田舎の地域に1991年突如、某新興宗教施設が建設されたのです。

建設予定計画の段階で地元住民の猛反発が起こり、私の親もたびたび反対集会に出席していたような気がします。
市長や県知事に嘆願書を提出したり、地元メディアに訴えかけようとしたらしいのですが、宗教団体側が「ある条件」を提示し、建設が強行されたそうです。

条件については地元でも様々な憶測や噂が飛び交いましたが、おそらく過疎化が進む市に多額の寄付金を寄与する事で、自治体が住民の声を見て見ぬふりをした、という説が濃厚でした。

宗教施設は私たちが住んでいる地域の端に建てられましたが、その敷地面積は東京ドームに換算すると2~3個ぶん程度の広さだったと思います。
過疎化が進む片田舎の土地は安かったのでしょう。

高校2年の秋頃に施設が完成し、親や学校の担任からは「あそこには近づくな」「あそこの信者には関わるな」と言われていました。

私たちはクラスの同級生8人くらいで見に行ったのですが、周りがすべて高い壁で囲われ、正面には巨大な門があり、門の両端の上の部分に、恐ろしい顔をした般若みたいなものが彫られていました。
それを見た同級生たちは「やばい!悪魔教じゃ悪魔教じゃ」と楽しそうに騒いでいましたが、そういう経緯から学校ではあの宗教を「悪魔教」や「般若団体」などと、わけのわからないアダ名で呼ぶようになりました。

たまにヒマな時などは、同級生ら数人で好奇心と興味と暇潰しに施設周辺を自転車でグルグルしていましたが、不思議な事に信者や関係者を見た事は一度もありませんでした。
あまりに人の気配がなく、特に問題も起きなかったので、しだいに皆の関心も薄れていきました。

高校3年になり、宗教施設の事は話題にもならなくなっていたのですが、ある日同級生のAが
「あそこに肝だめしに行かんか」と言いはじめました。

Aが言うには

「親から聞いたけど、悪魔教の建物に可愛い女が出入りしとるらしい。
 毎日店に買い物に来とるらしいで」

Aの実家は、地域内で唯一そこそこ大きいスーパーを経営していました。
Aの両親は毎日2万円~3万円ぶんも買い物をしていく「悪魔教」にすっかり感謝しているようでした。

Aは
「俺の親は、あそこの信者はおとなしくて良い人ばかりって言いよったよ。怖くないし、行ってみようや」

私やその他の同級生も遊ぶ場所がなく毎日退屈していましたので、「じゃあ行くか!」という事になり、肝だめしが決定しました。
メンバーは私とAとBとCとDの同じクラスの5人と、後輩のEとFの全員男の7人になりました。
7人もいれば怖くないでしょう。皆も軽い気持ちで行く雰囲気でした。


待ち合わせは施設にほど近い、廃郵便局の前になりました。
私が到着するとABCとEは来ていたのですが、DとFが30分近く待っても来なかったので、5人で行く事になりました。

施設の近くに自転車を停車させ、徒歩で施設の門へ。
「うわ~夜中はやっぱ怖いわ」や「懐中電灯をもう一つ持ってくりゃ良かったね」
などと話していました。

巨大な門の前まで来ると門からかなり離れた敷地内の建物の一ヶ所に電気がついていました。
「うわぁ信者まだ起きとんじゃね」「悪魔呼んだりしとんかね(笑)」などと軽口を叩いていましたが、Cが「これ、中に入れんじゃん」と言いました。

するとAが「俺が知っとるよ。横を曲がったとこに小さい門があってそっから入れる」と言いました。
「A、なんで早く言わんのんや」とか言いながら、壁づたいを歩き、突き当たりを横に曲がり、少し歩くと壁に小さな扉がありました。

Aが手で押すと、向こう側に開きました。
人ひとりようやく通れる扉を5人で順番に通って中に侵入しました。
その後は懐中電灯をつけたり消したりしながら更地の敷地内をグルグルしていました。

「なんもないじゃん」
「建物に近づいたらさすがにヤバイよの」

など小さな声で雑談していたのですが、あまりにも何もなくつまらないので施設に近付いてみる事にしたんです。

敷地内は正面の門からは長々とした100メートルくらいの完全な更地で、その先に大きな施設が三棟並んでいました。
よく覚えていませんが、とても奇妙な外観をしたデザインの建物でした。

施設周辺をコソコソ歩いていると、施設と施設の間に、灯りのついたキレイな公衆トイレの建物がぽつんとあり、
トイレがある場所一帯は白いキレイなコンクリートで舗装されていて、ベンチまでありました。

Aが「ちょっと休憩しようや」と言い出し、周りの同級生らは

「はぁ?見つかったらさすがにヤバイだろ」
「さっさと一周して帰ろうや」

と言いました。私も、

「見つかったら警察呼ばれるかもしれんし、卒業まであと少しじゃし、問題起こしたらヤバイ、はよう帰ろうや」

と言いました。

しかしAはベンチに座ると煙草を吸い始めました。
「じゃ一服だけして帰るか」という事で、全員でその場に座って煙草を吸いました。

するとAが「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」とその公衆トイレの中に入っていきました。
BやCは

「アイツ勝手に入った建物のトイレでよくションベンなんか出せるなぁ」
「ウ○コなら悪魔に呪われるんじゃないか」

とか冗談を言いながら煙草を吸っていたんですが、しばらくするとAがトイレの中から
「お~い。ちょっと来て。面白いもんがあるよ」と小さな声で言いました。

ゾロゾロと行ってみるとAは「ほら、ここなんだと思う?」と便所の個室を指さしました。
Bが「トイレじゃん」と言うと「ドア開けてみてや」と言い、Bが「なんや」と言いながら扉を開けました。
扉を開けてみると、なぜか中には地下に降りる階段がありました。

Aは「おかしいじゃろ。便器便器と並んで、ここだけ階段なんよ」と言いました。

いよいよ、この状況がおかしな事に気づきました。
第一Aの言動がずっと不可解でした。
Aが急に肝だめしを提案した事、横の扉の位置を把握していた事、トイレの扉をわざわざ開いた事などです。

私はAに「お前まさかココでウ○コするつもりだったん?」と聞きました。
Aは「いや、うん、そうじゃ」と曖昧に答えた後「ちょっと降りてみんか?」と皆に聞き始めました。

私は当然断りました。

「お前おかしな事言うなや。はよ帰ろう。ここでグズグズしよったら見つかるじゃろ」と言うと、
「はは~お前怖いんじゃろ?ちょっと降りるだけなのに怖いんじゃろ」
と馬鹿にした感じで言い出しました。

私はこれはAの挑発だと思いました。
下に誘導しようとしているとしか思えなかったのです。
Bも「ワシもいかんわ。帰ろうで」と言ってくれたのですが、他の二人は「なんか面白そう。ちょっとだけ降りようか」みたいな感じでAに同調したのです。

Aは「お前らは勇気あるの~」とか言いながら、私やBを更に挑発していましたが、
Bは「ワシ行かんで。勝手に行けや」と吐き捨てるように言いました。

Aは「ならまず3人で降りるわ。お前らはとりあえずココで待っといてや」と言いました。
そして3人は下へと降りて行ったのです。
私とBの二人はトイレの外には出ず、中で待っていました。

トイレの周辺は施設に挟まれた形で、窓も多数あったため、「どこの窓から見つかるか分からない」と思い、トイレ内で待機していました。

Bは「おい、Aってなんか変じゃないか?」と聞いてきました。
私は「今日のAはおかしい。なんか最初っから俺らをココに連れてきたみたいな感じがする」と答えると、Bも「ワシもそう思いよった」と言いました。

その後はBと一緒に今夜の事や見つかってしまった時の対処法などを話していました。
5分近く経った頃、「ちょっと遅くないか?!」と私もBもイライラし始めました。

Bは「もう二人で帰るか」と言い出したのですが、
二つあった懐中電灯のうち二つともAたちが持って降りてしまったので、暗闇の中あの小さな横の扉を発見するのは時間がかかると判断し、しぶしぶ待っていました。

すると、遠くのほうから足音が聞こえてきたんです。
ザッザッザッという複数の足音が遠くから聞こえてきました。
私もBも、一瞬で緊張しました。

私たちは小声で「ヤバイ…人がきた。マズイで…」と囁きあいました。
場が張りつめた雰囲気に変わりました。
足音は遠くからでしたが、どの方角からの足音か分からなかったですし、いま外に出ても私たちは施設内の方向や構造が分からないので、見つかってしまう可能性がありました。

Bが「ヤバイ…近づいて来とるで…どうする?」とかなり慌てた感じで言っていました。
私も内心は心臓がバクバクしながら「コッチに来るとは限らんし、来そうなら隠れよう」と言いました。
しかし確実に足音は私たちのいるトイレに近づいてきていました。

その時Bがいきなり階段ではない他の大便の個室の扉に手をかけました。
しかし開きません。隣の個室もなぜか開きませんでした。
Bは「クソッ!閉まっとる。あ~クソッ」と小さな声で叫びました。

足音はおそらく15mくらいまで近づいてきています。
直感的ですが、私はその時、足音の連中は間違いなくトイレに来ると確信していました。
Bもきっと同じ予感がしていたのだと思います。
私もBもジッと立ち尽したままでした。

Bは「…仕方ないわ。降りよう」と言い出しました。
私は「えっマジで…?」と返事をしました。
あの得体の知れない階段を降りるのはすごく嫌でしたがトイレ内にはもはや隠れる場所もなく、走り出したところで、暗闇の中でしかも場所がよく分からないので捕まるだろうと思いました。
深夜の宗教施設という特殊な状況下で判断力も鈍っていたのかもしれません。

足音がもうすぐトイレ付近に差しかかる中、私とBは個室の扉を開き足音を忍ばせながら下への階段を降りました。
階段はコンクリート造りの階段で、長い階段なのかと思っていましたが、意外にも10段くらいで下に着きました。
真っ暗闇なので何も見えないのですが、前を歩いていたBが、降りた突き当たりの目の前にあったのだろう扉を開きました。

中には部屋がありました。
部屋の天井にはオレンジ色の豆電球がいくつかぶら下がり、部屋全体は淡いオレンジ色に包まれていました。
私とBはその部屋に入ると、扉をそっと静かに閉めました。

部屋を見渡すと、15畳くらい(よく覚えていません)の何もないコンクリート造りの部屋で、真ん中には大きく円状のものがぶら下がっていました。
説明しにくいですが、巨大な鉄製のフラフープみたいなものが縦にぶら下がっている感じです。
そのフラフープは部屋の両隅の壁に付くくらい巨大なものでした。

私とBはそんなのを気にせずに、扉の前で硬直していましたが、
私が「Aたちは?おらんじゃん…」と小さな声で言うと、
Bは「わからん、わからん…」とひきつった表情で言っていました。

そして、私たちが聞いていた足音が予感通りトイレの中に入ってきたのが分かりました。
真上から足音がコンクリートを伝って響いてきました。
その足音は3人~4人くらい。
私たちはジッと動けないまま、扉の前で立ち尽していました。

なにやらブツブツ話し声が聞こえてきましたが、内容まで聞きとれません。
話し合うような声に聞こえましたし、それぞれがなにかをブツブツ呟いているようにも聞こえました。

Bは下をうつむいたまま、目を閉じていました。
どのくらい時間が経ったのか分かりません。
私はなにか楽しい事を思い出そうとして、当時流行っていたお笑い番組「爆SHOW☆プレステージ」を必死に思い出していました。
いつのまにか、トイレ内のブツブツ呟く声は、3~4人から10人くらいに増えている事に気づきました。

上にいる連中は私たちがココに隠れている事を知っているのではと思いました。
怖くてガタガタ震えてきました。
ブツブツブツブツと気味の悪い話し声に気が遠くなりそうでした。
突然ブツブツ呟く声が消えると、ガタンッと扉が二つ連続して開く音が聞こえた後、さらにガタンッと音がしました。
そのガタンッはトイレの個室を開く音だとすぐに分かり、鳥肌が立ちました。

「他の個室には最初から人が入っていたんじゃないか」

私と同じようにBがその可能性に気づいたのかどうかは分かりませんが、さっきは鍵が閉まっていたのですから、外から開けたのではなく、個室から誰かが出てきたんだと思ったのです。

そして階段を降りる足音が聞こえてきました。限界でした。
階段を降りきるまで15秒とかからないでしょう。私はBの腕をギュッと掴みました。

階段を降りる足音が中間地点くらいになった時、Bは「うわぁぁぁ~」と情けない悲鳴をあげながら私の手を振り払い、部屋の奥に走り出しました。

その時です。
Bがあの丸い輪をピョンとジャンプした瞬間、一瞬でBの姿がなくなったのです。
私はただただ唖然としました。

フラフープ状の丸い輪の向こう側に飛び越えるはずなのに、Bが忽然と姿を消してしまった事に、恐怖よりも放心状態になりました。
私は扉から少し離れ、扉とフラフープの間に立っていました。

「謝ろう!」と思いました。
「すみません。勝手に入ってしまいました。本当にすみません」
そう言おうと思いました。

扉がゆっくり開きました。
開いた扉の隙間から、わざとらしく、ひょいっと顔だけが現れました。
王冠のようなものをかぶった老人が顔だけ覗かせこちらを見ていました。

満面の笑みでした。

おじいさんかおばあさんかは分かりませんでしたが、長い白髪に王冠をかぶった、しわくちゃの老人が満面の笑みで私を見ていました。

それは見た事もない悪意に満ちた笑顔で、私は一目見て「これはまともな人間ではない」と思いました。
話が通じる相手ではないと思ったのです。

その老人の無機質な笑顔に一瞬でも見られたくないと思い、「はうひゃっ!」と情けない悲鳴が喉の奥から勝手に出てきて、
私もまたBと同じようにフラフープ状の輪に飛びこみました。


目を開くと病室にいました。頭がボーッとしていました。
腕には注射針が刺さり、私は仰向けに寝ていました。

上半身を起きあがらせるのに3分近くかかりました。
窓を見ると綺麗な夕焼けでした。

部屋には人はおらず、個室の病室でした。
何も考えられずただボーッとしていました。
どのくらいの時間ボーッとしていたか分かりません。

しばらくすると、ガチャとドアが開き看護婦さんが現れました。
看護婦さんは、かなり驚いた表情で目を見開くと、そのままどこかに駆け出しました。

私はそれでもボーッとしていました。
その後は担当医や他の医師たち数人が来て、私に何かを話しかけているようでしたが、私はボーッとしたままだったらしいです。
その後時間が経ち意識もだんだんと鮮明になってきました。

医師からは
「さっき○○君の家族呼んだからね。○○君は長い時間寝ていたんだよ。
 でも心配しなくていい。もう大丈夫だよ」
と意味不明な事を言われました。

起きてからも時間の感覚がよく分からなかったのですが、やがて母らしき人と若い女の子が泣きながら病室に入ってきました。

それは母ではありませんでした。それに私の名前は○○でもありません。

母を名乗る女性は「よかった…よかった」と泣いて喜んでいました。
若い女の子は私に「お兄ちゃん、おかえり…」と言いながら泣き崩れてしまいました。
しかし私に妹はいません。
3つ離れた大学生の兄ならいましたが、妹などいません。

私は「誰ですか?誰ですか?」と何度も聞きました。
医師は「後遺症でしょうが時間が経てば大丈夫だと…」
みたいな事を母らしき女性や妹らしき女の子に励ますように言っていました。

「今夜は母さんずっといるからね」と言われました。

私は寝たままいろいろ検査を受け、その際医師に
「僕は○○でもないし、母も違うし妹もいません」と言いました。
しかし医師は「う~ん…記憶にちょっと…う~ん…」と首を傾げていました。

「○○君はね、二年近く寝たきりだったんだよ。だから記憶がまだ完全ではないんだと思うよ」
と言われました。

そう言われても、私はショックな感情すらありませんでした。
現実にいま起きている事が飲み込めなかったのでショックを受ける事さえできなかったのです。
医師は言葉を選びながら、私を必死に励ましていました。
母らしき人は記憶喪失にショックを受けて号泣していました。

私は「トイレに行く」とトイレに行きました。
立ち上がる際に足が異常に重く、なかなか立ち上がれずにいると、医師や看護婦や妹らしき人が手伝ってくれました。

トイレに行くと、初めてあの夜の事を思い出しました。
不思議ですが、目覚めてからの数時間一度もあの肝だめしの事は思い出さずにいました。
トイレがすごく怖かったのですが、肩をかしてくれた医師や付いてきた母や妹がいたので、中に入りました。

用を足したあと、鏡を見て悲鳴をあげました。
顔が私ではありませんでした。まったくの別人でした。
覚えていないのですが、その時私は激しいパニックを起こしたらしく、大変だったらしいです。

その後は一ヶ月近く入院しました。
私は両親と名乗る男女や、妹を名乗る女の子や、見舞いに来た自称友達や、自称担任の先生だったという男性らに
「僕は○○じゃないし、あなたを知らない」と言い続けました。

AやBの事や、自分の過去や記憶を覚えている範囲で話し続けましたが、すべて記憶障害、記憶喪失で片付けられました。
Aなど存在しない、Bもいない、そんな人間は存在しないと説得されました。
しかし、みんな私にとても優しく接してくれました。

医師や周りの話だと、私は学校帰りに自転車のそばで倒れているところを通行人に発見され、そのまま病室に担ぎ込まれたそうです。

私に入ってくるこの世界の情報はどれも聞いた事がないものばかりでした。
例えば、「ここは神奈川県だよ」と言われた時は、私は神奈川県など知らないし、そんな県はなかったはずでした。
通貨単位も円など聞いた事もない。東京など知らない。
日本など知らない…という感じです。

そのつど医師からは「じゃあ、なんだったの?」と聞かれるのですが、どうしても思い出せないのです。
Aの名前も思い出せず、「同級生の友達」と何度も説明しましたが周りからは「そんな子はいないよ」と言われました。

あの施設に入り、あのフラフープに入った話を医師に何度も必死に説明しましたが、「それは眠っていた時の夢なんだよ」という感じで流され続けました。

しかし恐ろしい事に、私自身、「自分は記憶喪失なんだ。前の人生や世界は全部寝ていた時の夢だったんだ」と真剣に思い始めていたのです。

「記憶喪失な上に、別人格・別世界の記憶が上書きされている」
と信じはじめていたのです。

どちらにせよ私には別人としての人生を生きていく事しか選択肢はありませんでした。

退院後に父や母や妹に連れられ自宅に戻りました。
「思い出せない?」と両親から聞かれましたが、それは初めて見る家に初めて見る街並みでした。
私はカウンセリングに通いながら、必死にこの新しい人生に順応しようと思いました。

私に入ってくる単語や情報には違和感のあるものとないものに分かれました。
都道府県名や国名はどれも初めて聞いたものばかりですし、昔の歴史や歴史上の人物も初耳でしたが、大部分の日常単語については、違和感はありませんでした。
テレビや新聞、椅子やリモコンなどの日常会話はまったく違和感ありません。

最初は家族に馴染めず、敬語で話したり、パンツや下着を洗われるのが嫌で自分で洗濯などしていましたが、不思議な事に、本物の家族なんだと思えるようになり、前の人生は前世か夢だと思うようになりました。

そう思えてくると、前の人生での記憶が少しずつ失われていきました。
唯一鮮明に覚えていた両親の顔や兄の顔や友人の顔や田舎の街並みも思い出すのに時間がかかるようになりました。

しかし、あの最後の一夜、宗教施設での記憶だけはハッキリ覚えていました。
特にあの満面の笑みの老人の顔は忘れられませんでした。

新しい生活にも慣れ、カウンセリングの回数も減り、半年後には高校にも復帰しました。
二十歳で高校3年生からやり直したのですが、友人もでき、楽しさを感じていました。
テレビ番組も観た事がない番組ばかりでとても新鮮でした。

神奈川県の都市でしたので都会の生活もすごく楽しかったのを覚えています。

しかし、高校復帰から4ヶ月ほど経った後に意外な形で、あの世界とこの世界とをつなぐ共通点が現れました。
ちょうど夏休みに、私は宿題の課題のため、本屋で本を探していました。

すると並べてある本の中で「○○○○」という文字が目に入りました。
宗教関連本でした。「○○○○」というのは、紛れもなく、私が最後の夜に侵入した新興宗教の名前でした。

私は驚愕しました。そして本を手にとり、必死に読みました。
「○○○○」はこの世界では、かなり巨大な宗教団体というのが分かりました。

私のいた世界では名前も聞いた事がない無名の新興宗教団体だったのに、こちらでは世界的な宗教団体だったのです。
それから私はその宗教の関連本を何冊も買い読みあさりましたが、それは意味がない行為でした。

読んだからといって何も変わりません。
戻れるわけでもなければ、誰かに私の過去を証明できるような事実でもありません。

周りに話したところで「それは意識がなかった時に○○○○が夢に出てきただけだ」
と言われるだろうと思ったからです。

それに、親切にしてくれる新しい家族や友人たちに迷惑や心配をかけたくなかったのです。
せっかく高校にも復学し、過去の話をしなくなった私に対して安心感を感じてくれている周囲に対しての申し訳なさ、またカウンセリングに通う苦痛を考え、私は見て見ぬふりをする事にし普通に人生を送ってきました。

17年が経ち、私も今は都内で働くごく普通のサラリーマンです。


ではなぜ今さらこんな事を書き記そうと思ったかと言うと、先月、私の自宅に封書の手紙が届きました。
匿名で書かれた手紙の内容は

「突然で申し訳ありません。私はあなたをよく知っています。
 あなたも私をよく知っているはずです。
 あなたを見つけるのにとても長い時間と手間がかかりました。
 あなたは○○という名前ですが、覚えていますか?
 また必ず手紙を送ります。
 この手紙の内容は誰にも言わないでください。あなたの婚約者にも。
 よろしくお願いします」

という内容でした。

○○○と呼ばれても、私にはもはや全くピンときませんが、以前そんな名前だったような気もします。
手紙が送られてきた事に対しては不思議と恐怖も期待もなく、どちらかというと人ごとのように感じました。
そして、その手紙の相手は先週二通目を送ってきました。

要約すると

「あなたが知っている私の名前は○○です。
 あなたは覚えていませんよね?
 どうやらここにはあなたと私しか来ていないようです。」

と書かれ、

「今月25日の19時に○○駅前の○○にいるので、必ず来てください。
 あなたに早急に伝えなければならない事があります。必ず一人で来てください」

と書かれていました。

私には○○の名前が誰なのか一切覚えていませんが会いに行くつもりです。
行かなければならない気がしています。
誰がそこに立っていたとしても思い出せないと思いますが、あの夜のメンバーなら話せば誰なのか分かります。
できればBであってほしいです。

なにが起こるか分からないので、こういう形で書き残そうと思いました。
同じような文面を婚約者と唯一の身内になった妹には残しておこうと思います。

長々と読んで頂いてありがとうございました。
 
TAG :
長編怖い話
宗教系怖い話
@異世界
Welcome!
カテゴリ
最新記事
ブログ内検索
最新コメント
月別アーカイブ
記事タグ一覧

意味がわかると怖いコピペ @家・自宅 意味がわかると笑えるコピペ 人間が一番怖い @学校 洒落怖 下ネタ 復讐コピペ 家族系コピペ @会社 @車 @病院 @電車 @山・森林 言葉遊び @PC・ネット 猫コピペ @飲食店 「えっ」シリーズ 長編怖い話 ブラックジョーク @携帯・メール 意味がわかると可哀想なコピペ @海外 @風呂・トイレ @電話 意味がわかると怖くないコピペ 犬コピペ パロディコピペ 化物・神様 @ホテル・宿泊施設 実際にあった事件事故 オチが秀逸なコピペ @廃墟 @スーパー・コンビニ @公園 ギャルコピペ もぅマヂ無理。シリーズ @エレベーター 記事一覧ページ 女コピペ 子どもコピペ 怖イイ話 会社コピペ 虫コピペ 意味がわかると泣けるコピペ @夢 叙述トリック @ゲーム @寺・神社 日本好き系コピペ @トンネル @海 @川・水辺 2chであった怖い話 @自転車・バイク 痛いコピペ 読み物系 伝承怖い話 ナポリタン系コピペ Tさんシリーズ ヒサルキ関連 擬人化シリーズ 宗教系怖い話 意味のないコピペ くねくね関連 @異世界 「軍靴の足音が聞こえてきました」シリーズ タイムスリップ・タイムリープ @遊園地 

リンク
メールフォーム

お気軽にお待ちしています。
管理人に連絡等ございますときにもご利用ください。

◇お名前:
◇増やしてほしいコピペ:

怖いコピペ
意味がわかると怖い
笑えるコピペ
笑えるコピペ2
泣けるコピペ
なごむコピペ
スカッとするコピペ
謎解きコピペ
その他コピペ
◇コメント:

べんぴねこボタン
アクセスランキング
[ジャンルランキング]
ブログ
1818位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
2chまとめブログ
202位
アクセスランキングを見る>>
Ranking
QRコード
QR
このページのトップへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。