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ペキペキ「ンー」

385 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/28 06:17:42 ID:EjI2Qk480

スレチだったらもうしわけないんだが書くわ、少し長文になるけど勘弁してくれ

正直俺も秘密を秘密にしておくのは辛い、正直喋りたくて仕方ない。うん
まぁ特定されない程度に書くけどバアチャンは九州の人間で「古賀」って名字なんだけど
その地方はやたらと「古賀」って名字が多い場所とだけ書いておく。
なんかその地方のけっこうルーツにまつわる話で「古賀」の他にも「新賀」ってのもあったようなきがするけど忘れた、厨房のときの話だから勘弁してほしい。

んで遡ること厨房のときなんだけど近所の渓流で俺は当時はやってたルアーフィッシングをやってたのさ
バアチャンの家に遊びに行ってる時なんて釣りくらいしかやることないから流石に飽きてた俺はお気に入りのスケルトンGをおもいっきり投げたら向こう岸の林にまで飛んでっちゃってそれを取りに岩を渡って取りに行ったのさ。

今考えればその川がバーチャンの言ってた「境界線」だったんだと思う。


400 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/28 06:28:56 ID:EjI2Qk480

思い出しながら書いてるから遅いかもしれんが申し訳ない。

んで向こう岸までついてスケルトンGを探したんだけど見つからない。
向こう岸の竿から糸をたどっていけばすぐ見つかりそうなんだけど不思議となかなか見つからないのね。
当時小遣いが月1000円だったから2000円のルアーはおれにとって宝物だったから1時間くらい森の中をウロウロしてたと思う
川からあんまり離れると遭難するから川の音が聞こえる程度のとこをさがしてたんだけれどみつからない。

すると後ろからパキパキって枝の折れる音がした。
なぜか熊とかの野生動物とじゃないかとか不安には思わなかった。
むしろなぜかそこにいないはずの父ちゃんとかバーチャンが俺を捜しにきてくれたのかな?ってふと思ったのが不思議そんなはず絶対ないのに。

んで振り向いたら人が立ってた。全裸の
普通びっくりすると思うけど超田舎だったから川を真っ裸で泳ぐ人ってのは近所じゃ珍しくなかったのね。

んで俺は「あ、こんにちわ」って言ったのそしたらその人はにっこりわらってこっちを見てるから悪い人じゃないなって思った。
一緒に探してくれるのかなって思って「ルアーがどこかにいってしまって」と言ったら
「ンー」と言いながら近づいてきた。

俺は周りをキョロキョロしながら歩いてたんだけどその人は俺の周りを「ンー」って言いながらグルグル歩き始めた。
今思い出したらアシモみたいな歩き方だった。


415 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/28 06:39:23 ID:EjI2Qk480

んでその人が「ンー」とか言いながら岩をふっとどかしたのね。
岩の下を覗き込むようにしながら岩を大切そうに持ち上げたの。

俺は「いやいや、そんなとこにはないですよw」って突っ込んだら
その人は「ンンンー」って言いながらニコニコ笑って俺に岩を投げた。

頭の横スレスレを横切った岩の意味を理解するのに2秒くらいかかった。
その人の顔を見ると目に前々破棄がないって言うかギラギラとした目ですごく怖かった、まさにこんな感じ→<●><●>

俺が身構えるとその人は「ギャー」みたいな感じでわけのわかわからない奇声を出した
そしたら周りから声が聞こえた「ンー」「ンー」って沢山。

うわぁああああってなった。
いつの間にか裸の人が沢山こっちにあつまってくるような音がした
ペキペキペキって枝を折るような音が沢山周りから聞こえた。
逃げ回ってどっちから自分が来たのか全然わかんなくなった。

怖くなってガタガタ震えてたら遠くでキラキラ光るものを見つけた。
俺のスケルトンGだった。

俺はルアーの糸をたぐって川までたどり着きびしょびしょになりながら
家に帰った。今思い出すと胃の辺りがむかむかする。


428 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/28 06:49:17 ID:EjI2Qk480

んでバーチャンに事のあらましを話したら「坊、それはアガリビトだっちゃ」と教えてくれた。
すまん方言は適当、でもだいたいこんな感じ

アガリビトはイノシシが山を下りて豚になって人間に食われるようになったみたいに人間が山を「上がって」自然に帰った姿なんだそうだ。
でも生まれつき自然と一緒の動物と違って人間の知恵と自然の力を持つようになった
つまり人から1ランク上がった存在だから神様みたいなものなんだ、と教えてくれた。
その地方の人はアガリビトを本気で信仰してる人もいるからもう行っちゃダメだと言われた。

普通アガリビトは山奥のほうに住んでるもんなんだけどまだ中途半端ないわゆる「半アガリビト」状態の人は境界線の周りをウロウロすることもあるらしい。

「中途半端なアガリさんでよかったねー本物をみると怖いから」とバアチャンは俺に教えてくれた。

どうなるの?って聞いたら「あがっちゃう」とだけバーチャンは完結に言った。
そこからは村のルーツとか紀元の話だったから退屈で聞いてなかったけど今思うと惜しい事をしたと思う。


432 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2010/05/28 06:54:00 ID:EjI2Qk480

この話を書きながら厨房の時の事を思い出すと
今でも後ろから枝を折るようなペキペキって音と「ンー」が聞こえてくるみたいで
ぞわっとする。

すまんが俺もあれがなんだったのか気になるが会社に行かねば。
からもし良ければ丘板のほうに転載しといてくれるとすごい助かる。

なんか明け方のテンションにまかせた支離滅裂な文ですまんかった。
 
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人間が一番怖い
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邪視

696 その1 sage 2008/01/17(木) 21:36:23 ID:U3a23e/90

これは俺が14歳の時の話だ。

冬休みに、N県にある叔父(と言ってもまだ当時30代)の別荘に遊びに行く事になった。
本当は彼女と行きたかったらしいが、最近別れたので俺を誘ったらしい。
小さい頃から仲良くしてもらっていたので、俺は喜んで遊びに行く事になった。

叔父も俺と同じ街に住んでおり、早朝に叔父が家まで車で迎えに来てくれて、そのまま車で出発した。

叔父は中々お洒落な人で、昔から色んな遊びやアウトドア、音楽、等等教えてもらっており、尊敬していた。
車で片道8時間はかかる長旅だったが、車内で話をしたり音楽を聞いたり、途中で休憩がてら寄り道したり、本当に楽しかった。

やがて目的地近辺に到着し、スーパーで夕食の食材を買った。
そして、かなりの山道を登り、別荘へ。
それほど大きくはないが、木造ロッジのお洒落な隠れ家的な印象だった。

少し下がった土地の所に、2~3他の別荘が見える。
人は来ていない様子だった。

夕食は庭でバーベキューだった。
普通に安い肉だったが、やっぱり炭火で焼くと美味く感じる。
ホルモンとか魚介類・野菜も焼き、ホントにたらふく食べた。
白飯も飯盒で炊き、最高の夕食だった。

食後は、暖炉のある部屋に行き、TVを見たりプレステ・スーファミ・ファミコンで遊んだり。
裏ビデオなんかも見せてもらって、当時童貞だったので衝撃を受けたもんだった。
深夜になると、怖い話でも盛り上がった。
叔父はこういう方面も得意で、本当に怖かった。
機会があればその話も書きたいが…

ふと、叔父が思い出した様に「裏山には絶対に入るなよ」と呟いた。
何でも、地元の人でも滅多に入らないらしい。マツタケとか取れるらしいが。
関係ないかもしれないが、近くの別荘の社長も、昔、裏山で首吊ってる、と言った。
いや、そんな気味悪い事聞いたら絶対入らないし、とその時は思った。

そんなこんなで、早朝の5時ごろまで遊び倒して、やっとそれぞれ寝ることになった。


697 その2 sage 2008/01/17(木) 21:37:46 ID:U3a23e/90

部屋に差し込む日光で目が覚めた。時刻はもう12時を回っている。
喉の渇きを覚え、1階に水を飲みに行く。
途中で叔父の部屋を覗くと、イビキをかいてまだ寝ている。

寒いが、本当に気持ちの良い朝だ。
やはり山の空気は都会と全然違う。自分の部屋に戻り、ベランダに出て、椅子に座る。
景色は、丁度裏山に面していた。別になんて事はない普通の山に見えた。

ふと、部屋の中に望遠鏡がある事を思い出した。
自然の景色が見たくなり、望遠鏡をベランダに持ってくる。
高性能で高い物だけあって、ホントに遠くの景色でも綺麗に見える。
町ははるか遠くに見えるが、周囲の山は木に留ってる鳥まで見えて感動した。

30分くらい夢中で覗いていただろうか?
丁度裏山の木々を見ている時、視界に動くものが入った。

人?の様に見えた。
背中が見える。頭はツルツルだ。しきりに全身を揺らしている。
地元の人?踊り?
手には鎌を持っている。

だが異様なのは、この真冬なのに真っ裸と言う事。
そういう祭り?だが、1人しかいない。

思考が混乱して、様々な事が頭に浮かんだ。
背中をこちらに向けているので、顔は見えない。
その動きを見て、何故か山海塾を思い出した。

「これ以上見てはいけない」

と本能的にそう感じた。
人間だろうけど、ちょっとオカシな人だろう。気持ち悪い。

だが、好奇心が勝ってしまった。
望遠鏡のズームを最大にする。ツルツルの後頭部。色が白い。

ゾクッ、としたその時、ソイツが踊りながらゆっくりと振り向いた。
恐らくは、人間と思える顔の造形はしていた。鼻も口もある。
ただ、眉毛がなく、目が眉間の所に1つだけついている。縦に。

体が震えた。
1つ目。奇形のアブナイ人。
ソイツと、望遠鏡のレンズ越しに目が合った。
口を歪ませている。笑っている。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

目が合った瞬間、叫んでいた。
涙が止まらない。とにかく、死にたい。
異常なまでの鬱の様な感情が襲ってきた。

死にたい死にたい…半狂乱で部屋を駆け回っていると、叔父が飛び込んで来た。


698 その3 sage 2008/01/17(木) 21:39:21 ID:U3a23e/90

「どうした!?」
「バケモン!!」
「は?」
「望遠鏡!!裏山!!」

叔父が望遠鏡を覗きこむ。

「~~~~~~ッ」

声にならない唸りを上げ、頭を抱え込む。
鼻水を垂らしながら泣いている。
さっきよりは、少し気持ちの落ち着いた俺が聞いた。

「アレ何だよ!!」
「00子~00子~」

別れた彼女の名前を叫びながら、泣きじゃくる叔父。
流石にヤバイと思い、生まれて初めて平手で思いっきり、人の顔をはたいた。
体を小刻みに揺らす叔父。1
0秒、20秒…叔父が俺を見つめてきた。

「邪視」
「じゃし?」
「いいか、俺の部屋の机の引き出しに、サングラスがあるから持ってこい。お前の分も」
「なんで(ry」
「いいから持ってこい!!」

俺は言われるままに、サングラスを叔父に渡した。
震える手で叔父はサングラスをかけ、望遠鏡を覗く。
しばらく、望遠鏡を動かしている。
「ウッ」と呻き、俺に手招きをする。

「グラサンかけて見てみろ。」

恐る恐る、サングラスをかけ、覗き込む。
グラサン越しにぼやけてはいるが、木々の中のソイツと目が合った。

言い様の無い不安がまた襲ってきたが、さっきほどでは無い。
だが心臓の鼓動が異常に早い。
と言うか、さっきの場所では無い…ソイツはふにゃふにゃと奇妙な踊り?をしながら動いている。
目線だけはしっかりこちらに向けたまま…
山を降りている!?まさかこっちに来ている…!?


699 その4 sage 2008/01/17(木) 21:40:47 ID:U3a23e/90

「00、お前しょんべん出るか?」
「は?こんな時に何を…」
「出るなら、食堂に空きのペットボトルあるから、それにしょんべん入れて来い」

そう言うと、叔父は1階に降りていった。
こんな時に出るわけないので、呆然としていたら、数分後、叔父がペットボトルに黄色のしょんべんを入れて戻ってきた。

「したくなったら、これに入れろ」

と言い、叔父がもう1つの空のペットボトルを俺に差し出した。

「いや、だからアイツ何?」
「山の物…山子…分からん。
 ただ、俺がガキの頃、よく親父と山にキャンプとか行ってたが、あぁ、あそこの裏山じゃないぞ?
 山は色んな奇妙な事が起こるからな…
 夜でも、テントの外で人の話し声がするが、誰もいない。
 そんな時に、しょんべんとか撒いたら、不思議にピタッと止んだもんさ…」

そう言うと叔父は、もう一度望遠鏡を覗き込んだ。
「グウッ」と苦しそうに呻きながらも、アイツを観察している様子だ。

「アイツな。時速何Kmか知らんが、本当にゆっくりゆっくり移動している。
 途中で見えなくなったが…間違いなく、このロッジに向かってるんじゃないのか」

「じゃあ、早く車で戻ろうよ」

「多分、無駄だ…アイツの興味を俺たちから逸らさない限りは…多分どこまでも追ってくる。
 これは一種の呪いだ。邪悪な視線、と書いて邪視と読むんだが…」

「さっき言ってたヤツか…でも何でそんなに詳しいの?」
「俺が仕事で北欧のある街に一時滞在してた時…イヤ、俺らが助かったら話そう」
「助かったらって…アイツが来るまでここにいるの?」

「いいや、迎え撃つんだよ」


700 その5 sage 2008/01/17(木) 21:41:44 ID:U3a23e/90

俺は絶対にここに篭っていた方が良いと思ったが、叔父の意見はロッジに来られる前に、どうにかした方が良い、と言う物だった。
あんな恐ろしいヤツの所にいくなら、よっぽど逃げた方がマシだと思ったが、叔父さんは昔からいつだって頼りになる人だった。
俺は叔父を尊敬しているし、従う事に決めた。

それぞれ、グラサン・ペットボトル・軽目の食料が入ったリュック・手持ちの双眼鏡・木製のバット・懐中電灯等を持って、裏山に入っていった。
暗くなる前にどうにかしたい、と言う叔父の考えだった。

果たしてアイツの視線に耐えられるのか?
望遠鏡越しではなく、グラサンがあるとはいえ、間近でアイツに耐えられるのか?
様々な不安が頭の中を駆け巡った。

裏山と言っても、結構広大だ。
双眼鏡を駆使しながら、アイツを探しまわった。
叔父いわく、アイツは俺らを目標に移動しているはずだから、いつか鉢合わせになると言う考えだ。

あまり深入りして日が暮れるのは危険なので、ロッジから500mほど進んだ、やや開けた場所で待ち伏せする事になった。

「興味さえ逸らせば良いんだよ。興味さえ…」
「どうやって?」

「俺の考えでは、まずどうしてもアイツに近づかなければならない。
 だが直視は絶対にするな。斜めに見ろ。
 言ってる事分かるな?目線を外し、視線の外で場所を捉えろ。
 そして、溜めたしょんべんをぶっかける。それでもダメなら…
 良いか?真面目な話だぞ?俺らのチンコを見せる」

「はぁ?」

「邪視ってのはな、不浄な物を嫌うんだよ。糞尿だったり、性器だったり…
 だから、殺せはしないが、それでアイツを逃げされる事が出来たのなら、俺らは助かると思う」

「…それでもダメなら?」
「…逃げるしかない。とっとと車で」

俺と叔父さんは、言い様のない恐怖と不安の中、ジッと岩に座って待っていた。
交代で双眼鏡を見ながら。時刻は4時を回っていた。


701その6sage2008/01/17(木)21:44:14ID:U3a23e/90

「兄ちゃん、起きろ」

俺が10歳の時に事故で亡くなった、1歳下の弟の声が聞こえる。

「兄ちゃん、起きろ。学校遅刻するぞ」

うるさい。あと3分寝かせろ。

「兄ちゃん、起きないと死んじゃうぞ!!」

ハッ、とした。
寝てた??あり得ない、あの恐怖と緊張感の中で。眠らされた??

横の叔父を見る。寝ている。急いで起こす。叔父、飛び起きる。
腕時計を見る、5時半。
辺りはほとんど闇になりかけている。冷汗が流れる。

「00、聴こえるか?」
「え?」
「声…歌?」

神経を集中させて耳をすますと、右前方数m?の茂みから、声が聞こえる。
だんだんこっちに近づいて来る。
民謡の様な歌い回し、何言ってるかは分からないが不気味で高い声。

恐怖感で頭がどうにかなりそうだった。
声を聞いただけで世の中の、何もかもが嫌になってくる。

「いいか!足元だけを照らせ!!」

叔父が叫び、俺はヤツが出てこようとする、茂みの下方を懐中電灯で照らした。
足が見えた。毛一つ無く、異様に白い。体全体をくねらせながら、近づいてくる。

その歌のなんと不気味な事!!一瞬、思考が途切れた。


702 その7 sage 2008/01/17(木) 21:45:39 ID:U3a23e/90

「あぁぁっ!!」
「ひっ!!」

ヤツが腰を落とし、四つんばいになり、足を照らす懐中電灯の明かりの位置に、顔を持ってきた。
直視してしまった。昼間と同じ感情が襲ってきた。
死にたい死にたい死にたい!こんな顔を見るくらいなら、死んだ方がマシ!!

叔父もペットボトルをひっくり返し、号泣している。
落ちたライトがヤツの体を照らす。
意味の分からないおぞましい歌を歌いながら、四つんばいで、生まれたての子馬の様な動きで近づいてくる。
右手には錆びた鎌。

よっぽど舌でも噛んで死のうか、と思ったその時、

「プルルルルッ」

叔父の携帯が鳴った。
号泣していた叔父は、何故か放心状態の様になり、ダウンのポケットから携帯を取り出し、見る。

こんな時に何してんだ…もうすぐ死ぬのに…と思い、薄闇の中、呆然と叔父を見つめていた。
まだ携帯は鳴っている。プルルッ。叔父は携帯を見つめたまま。
ヤツが俺の方に来た。恐怖で失禁していた。死ぬ。

その時、叔父が凄まじい咆哮をあげて、地面に落ちた懐中電灯を取り上げ、素早く俺の元にかけより、俺のペットボトルを手に取った。

「こっちを見るなよ!!ヤツの顔を照らすから目を瞑れ!!」

俺は夢中で地面を転がり、グラサンもずり落ち、頭をかかえて目をつぶった。

ここからは後で叔父に聞いた話。
まずヤツの顔を照らし、視線の外で位置を見る。
少々汚い話だが、俺のペットボトルに口をつけ、しょんべんを口に含み、ライトでヤツの顔を照らしたまま、しゃがんでヤツの顔にしょんべんを吹きかける瞬間、目を瞑る。霧の様に吹く。

ヤツの馬の嘶きの様な悲鳴が聞こえた。
さらに口に含み、吹く。吹く。ヤツの目に。目に。


703 その8 sage 2008/01/17(木) 21:46:49 ID:U3a23e/90

さっきのとはまた一段と高い、ヤツの悲鳴が聞こえる。
だが、まだそこにいる!!

焦った叔父は、ズボンも下着も脱ぎ、自分の股間をライトで照らしたらしい。
恐らく、ヤツはそれを見たのだろう。
言葉は分からないが、凄まじい呪詛の様な恨みの言葉を吐き、くるっと背中を向けたのだ。
俺は、そこから顔を上げていた。叔父のライトがヤツの背中を照らす。

何が恐ろしかったかと言うと、ヤツは退散する時までも、不気味な歌を歌い、体をくねらせ、ゆっくりゆっくりと移動していた!!
それこそ杖をついた、高齢の老人の歩行速度の如く!!

俺たちは、ヤツが見えなくなるまでじっとライトで背中を照らし、見つめていた。
いつ振り返るか分からない恐怖に耐えながら…
永遠とも思える苦痛と恐怖の時間が過ぎ、やがてヤツの姿は闇に消えた。

俺たちはロッジに戻るまで何も会話を交わさず、黙々と歩いた。
中に入ると、叔父は全てのドアの戸締りを確認し、コーヒーを入れた。
飲みながら、やっと口を開く。

「あれで叔父さんの言う、興味はそれた、って事?」
「うぅん…恐らくな。さすがに、チンコは惨めなほど縮み上がってたけどな」

苦笑する叔父。
やがて、ぽつりぽつりと、邪視の事について語り始めてくれた…


704 その9 sage 2008/01/17(木) 21:47:33 ID:U3a23e/90

叔父は、仕事柄、船で海外に行く事が多い。
詳しい事は言えないが、いわゆる技術士だ。

叔父が北欧のとある街に滞在していた、ある日の事。
現地で仲良くなった、通訳も出来る技術仲間の男が、面白い物を見せてくれると言う。
叔父は人気の無い路地に連れて行かれた。
ストリップとかの類かな、と思っていると、路地裏の薄汚い、小さな家に通された。

叔父は中に入って驚いた。
外見はみすぼらしいが、家の中はまるで違った。
一目で高級品と分かる絨毯。壺。貴金属の類…香の良い香りも漂っている。

わけが分からないまま、叔父が目を奪われていると、奥の小部屋に通された。
そこには、蝋燭が灯る中、見た目は60代くらいの男が座っていた。
ただ異様なのは、夜で家の中なのにサングラスをかけていた。
現地の男によれば「邪視」の持ち主だと言う。

邪視(じゃし)とは、世界の広範囲に分布する民間伝承、迷信の一つで、悪意を持って相手を睨みつける事によって、対象となった被害者に呪いを掛ける事が出来るという。
イビルアイ(evileye)、邪眼(じゃがん)、魔眼(まがん)とも言われる。
邪視の力によっては、人が病気になり衰弱していき、ついには死に至る事さえあるという。

叔父は、からかい半分で説明を聞いていた。
この男も、そういう奇術・手品師の類であろうと。

座っていた男が、現地の男に耳打ちした。
男曰く、信じていない様子だから、少しだけ力を体験させてあげよう、と。
叔父は、これも一興、と思い、承諾した。また男が現地の男に耳打ちする。
男曰く、

「今から貴方を縛りあげる。誤解しないでもらいたいのは、それだけ私の力が強いからである。
 貴方は暴れ回るだろう。私は、ほんの一瞬だけ、私の目で貴方の目を見つめる。
 やる事は、ただそれだけだ」


705 その10 sage 2008/01/17(木) 21:48:34 ID:U3a23e/90

叔父は、恐らく何か目に恐ろしげな細工でもしているのだろう、と思ったという。
本当に目が醜く潰れているのかもしれないし、カラーコンタクトかもしれない。
もしくは、香に何か幻惑剤の様な効果が…と。

縛られるのは抵抗があったが、友人の現地の男も、本当に信頼出来る人物だったので、応じた。
椅子に縛られた叔父に、男が近づく。友人は後ろを向いている。
静かに、サングラスを外す。叔父を見下ろす。

「ホントにな、今日のアイツを見た時の様になったんだ」

コーヒーをテーブルに置いて、叔父は呟いた。

「見た瞬間、死にたくなるんだよ。瞳はなんてことない普通の瞳なのにな。
 とにかく、世の中の全てが嫌になる。見つめられたのはほんの、1~2秒だったけどな。
 何かの暗示とか、催眠とか、そういうレベルの話じゃないと思う」

友人が言うには、その邪視の男は、金さえ積まれれば殺しもやるという。
現地のマフィア達の抗争にも利用されている、とも聞いた。

叔父が帰国する事になった1週間ほど前、邪視の男が死んだ、という。
所属する組織のメンツを潰して仕事をしたとかで、抹殺されたのだという。
男は娼婦小屋で椅子に縛りつけれれて死んでいた。
床には糞尿がバラ巻かれていたと言う。

男は、凄まじい力で縄を引きちぎり、自分の両眼球をくり抜いて死んでいたという。


706 その11、終わり sage 2008/01/17(木) 21:49:23 ID:U3a23e/90

「さっきも言った様に、邪視は不浄な物を嫌う。
 汚物にまみれながら、ストリップか性行為でも見せられたのかね」

俺は、一言も発する気力もなく、話を聞いていた。
さっきの化け物も、邪視の持ち主だっという事だろうか。
俺の考えを読み取ったかのように、叔父は続けた。

「アイツが本当に化け物だったのか、ああいう風に育てられた人間なのかは分からない。
 ただ、アイツは逃げるだけじゃダメな気がしてな…だから死ぬ気で立ち向かった。
 カッパも、人間の唾が嫌いとか言うじゃないか。
 案外、お経やお守りなんかよりも、人間の体の方がああいうモノに有効なのかもしれないな」

俺は、話を聞きながら弟の夢の事を思い出して、話した。
弟が助けてくれたんじゃないだろうか…と。
俺は泣いていた。
叔父は神妙に聞き、1分くらい無言のまま、やがて口を開いた。

「そういう事もあるかもしれないな…00はお前よりしっかりしてたしな。
 俺の鳴った携帯の事、覚えてるか?あれな、別れた彼女からなんだよ。
 でもな、この山の周辺で、携帯通じるわけねぇんだよ。
 見ろよ。今、アンテナ一本も立ってないだろ?
 だから、そういう事もあるのかも知れないな…今すぐ、山下りて帰ろう。
 このロッジも売るわ。早く彼女にも電話したいしな」

叔父は照れくさそうに笑うと、コーヒーを飲み干し立ち上がった。
 
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IZUMO社航空機墜落事故

619 :本当にあった怖い名無し:2009/01/04(日) 21:39:58 ID:CbuCnonh0

事件に関する重要な記録をここに公開する。ICレコーダーによる記録である。
吹き込まれた声は、基本的に可美村(かみむら)緋那(ひな)のものだけである。

彼女は警視庁の刑事であると共に、IZUMO社航空機墜落事故の唯一の生存者である、可美村貴代(たかよ)ちゃん(事故当時十三歳)の叔母でもある。

貴代ちゃんは事故の怪我によって、長らく植物人間状態と見なされていたが、先日、意識をはっきりと回復していることが確認された。
会話が出来るほどには回復していないため、奥歯に電極を取り付け、歯を噛み合わせると電子音が鳴る仕組みでコミュニケーションを可能にした。
イエスの場合は二回、ノーの場合は一回、歯を噛み合わせてもらった。

貴代ちゃんの精神安定のため、部屋には緋那さんと貴代ちゃんの二人だけである。
カメラなども設置していない。


620 :続き:2009/01/04(日) 21:41:29 ID:CbuCnonh0

以下が記録である。

「こんにちは」
無音。
「私のことを覚えていますか」
二回。
「ええ、緋那おばさんですよ。少しお話をしてもいい?」
二回。
「今日はお日様が出ていますね。気持ちいいですか?」
二回。
「お外に出ます?」
一回。
「ここでいい?」
二回。
「そう。それじゃあ、ここで」
無音。


621 :続き:2009/01/04(日) 21:42:59 ID:CbuCnonh0

「あのね、おばさん、事故の時の話をしたいんだけど、いい?」
無音。
「駄目?」
やや後、二回。
「駄目なの?」
一回。
「いいの?」
二回。
「それじゃ、聞きますね。貴代ちゃんは旅行の帰りだったんですね」
二回。
「空港を出た時は何も異常はありませんでしたか」
二回。
「他の乗客の人たちは普通でしたか?」
二回。
「飛んでいる最中に何かが起こったのですね」
四回、間断なく。
「それはYESということ?」
三回。
「つらい? この話、やめましょうか?」
しばし後、一回。
「続けられる?」
二回。
「じゃあ、もう少し頑張ってくださいね」
二回。


623 :続き:2009/01/04(日) 21:44:59 ID:CbuCnonh0

「事故の前、飛行機は揺れましたか?」
二回。
「恐かった?」
やや後、一回。
「その時には、もう落ちると思いましたか?」
一回。
「大したことはないと思ったんですね」
二回。
「揺れはだんだん酷くなりましたか?」
やや後、一回。
「しばらく小さな揺れが続いたんですか?」
一回。
「それは、つまり……揺れが一度止まった?」
二回。
「その後、また揺れましたか?」
二回。
「その後、落ちたのですか?」
二回。
「辛い事ばかり聞いてごめんね。恐かったでしょう?」
二回。
「今日はこれぐらいにしておく? 疲れたでしょう?」
一回。
「まだ話せる?」
二回。
「それじゃあ、もう少し聞いていい?」
二回。
「揺れている以外に、何か異常はありましたか?」
しばし後、二回。
「それじゃあ」
可美村緋那さんの言葉の途中で、三回。
「どうしたの?」
三回。
「顎が疲れちゃった?」
五回。
「震えてるの?」
四回。
「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」
六回。間を挟んですぐに五回。
「少し落ち着くまで待ちますね」
三回。

しばし休憩。その最中にも、数回。

「もう大丈夫?」
二回。
「さっきの話の続きね。何か揺れ以外の異常があったのですか?」
二回。
「エンジン音とかが変だったのですか?」
一回。
「何か爆発音が聞こえたとか?」
一回。
「窓から何かが見えました?」
二回。
「それは何か硬そうなものがぶつかったのが見えたということでしょうか」
一回。
「もしかして、それは墜落の直接の原因じゃないと思いますか?」
一回。
「窓から見えたものが墜落の原因ですか?」
一回。
「それは」
可美村緋那の言葉の最中、何度も続けて。(回数不明)
「貴代ちゃん、だいじょうぶ? 恐いの?」
連続。
「もう大丈夫だから、怖がらなくてもいいんですよ。ここは病院だから、落ちたりしませんよ」
七回。
「さあ、落ち着いて」
五回。
しばし後、回復。
「貴代ちゃん、だいじょうぶ?」
二回。
「続けられますか?」
二回。
「何が見えたんですか?」
無音。
「ああ、ごめんね。そこから見えたのは、ええと、他の飛行機か何かですか?」
一回。
「少し質問を変えますね。貴代ちゃんの席は窓際でしたか?」
二回。
「窓からは飛行機の羽も良く見えたんですか?」
二回。
「羽に何か異常があったんですか?」
やや後、二回。
「羽が壊れてた?」
やや後、二回。
二回。
「窓からは飛行機の羽も良く見えたんですか?」
二回。
「羽に何か異常があったんですか?」
やや後、二回。
「羽が壊れてた?」
やや後、二回。
「だから飛行機は落ちたのかしら?」
しばし待つも、無音。
「羽が壊れて落ちたわけじゃないの?」
一回。
「羽が壊れて落ちたのね」
二回。
「なんで壊れたのか、わかりますか?」
二回。
「何かがぶつかったの?」
一回。
「勝手に壊れた?」
一回。
「誰かが壊した?」
二回。
「誰かが、そこにいたの?」
二回。
「それで」
言葉の最中、小刻みに何度も。

しばし質問の声もなく、音だけが続く。

「いい?」
一回、一回、一回と、間を挟んで。

収まるまで待つ。

「その誰かは、羽だけにいたのですか?」
一回。
「一人じゃなかったんですか」
二回。
「たくさん?」
二回。
「いろんな所を壊していた?」
二回。
「窓は」
二回。
「それは窓を壊して入ってきたということ?」
二回。
「その何かは、乗客に酷いことをしたのですか?」
二回。
「貴代ちゃんの傷も、その何かのせい?」
何度も。
「傷口から唾液が」
何度も。
「牙が生えてた?」
何度も。
「ぬめぬめしてた?」
何度も。
「目が真っ黒で、葡萄みたいに小さくて、びっしりと」
何度も。
「子供みたいに小さい」
何度も。
「手が、ううん、足? たくさん生えてて、這い回るみたいに」
何度も。
「変な声で、何かを擦ったみたいな声で」
何度も。
「すごく小さな穴や隙間から、ずりずりって出てきて」
何度も。
「身体に張り付いてきて」
何度も。
「登ってきて」
何度も。
「噛みついて」

電子音は以降、一切鳴らなくなる。

「食べられ」
「痛い」
「助けて」


632 :続き:2009/01/04(日) 22:06:26 ID:CbuCnonh0

以上が記録された二人のやり取りである。

後半、何かをこするような音や、ピタピタと吸盤の張り付くような音、引きずるような音などが入り乱れたが、詳細は不明である。
可美村緋那の声が後半で震えていたことと、何らかの関係があるのかも不明。

この記録は、桜美赤十字病院女性二名惨殺事件の重要参考物件として、県警に保管されている。
この事件の真相は未だ謎に包まれたままである。
 
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やまけらし様

俺の家は物凄い田舎で、学校に行くにも往復12kmの道程を自転車で通わないといけない。
バスも出てるけど、そんなに裕福な家でもないので定期買うお金がもったいなかった。
学校への道はちょっと遠回りだけど街中を通る道と、若干近道だけど山越えをする道と2つあるんだが、俺は山越えで汗だくになるのが嫌だったのでほとんど街中のルートを通っていた。

ある日、学校の体育館で友達とバスケをしていて遅くなった俺は、早く帰ろうと自転車で山越えをしようとしていた。
街中に入る道と山道に入る道の分岐点にあるコンビニで飲み物を買って、いざ山越えに。
日が沈み始めた山道は結構不気味で、ひぐらしの鳴く声を聞くと心細くなってやけに不安になる。
戻って街中を通ろうかな…なんて思いつつガッシャンガッシャン自転車をこいでると急に

「も゛っも゛っも゛っ」

ていう表現しにいうめき声のようなものが聞こえ、その瞬間に何かが背中にドスッと落ちてきた。
上半身をグッと下に押し付けられるような感覚に襲われ、冷や汗とも脂汗とも言えない妙な汗が体中から噴き出してきた。
怖くて振り向けずにとりあえず峠を越えようとがむしゃらにこぎ続けてた。その間にも背中から

「も゛っむ゛む゛っ」

と変な声が聞こえている。
絶対変な物を背負ってしまった、どうしよう・・・と涙目になって自転車こいでたら上り坂の終わり、峠の中腹の開けた場所に出た。
息を切らしながら足をついて崖側の方に目を向けると、小さな女の子が居た。

夕日の色でよくわからなかったけど、白っぽいシャツの上にフードつきの上着とデニムスカートを穿いたセミロングの子。大体6〜7歳くらいに見えた。
車なんて通らない田舎の山道に、しかももうすぐ日が暮れてしまう山道に女の子がいるはずがない。
ああ・・・ひょっとしなくても幽霊か・・・って思って動けないでいると、その子は小走りで俺の足元まで来て俺をじーっと見上げた。
10秒くらい見つめたかと思うと急に俺の太ももを埃を払うようにパンパンっと叩いた。

「大丈夫だよ、安心して?」

と言ってるかのようにニッコリ笑うと、崖の向こう側に走っていって消えてしまった。
崖下に落ちた!?と思って自転車を降りて覗いてみたけど、崖下には人が落ちた形跡は無かった。
やっぱり人間じゃなかったわけだ・・・

不思議な事に、女の子に太ももを叩かれてから背中の重みも消え、妙な声も聞こえなくなった。

結構暗くなってからやっとこさ家に帰った俺は、あの背中の妙なものと峠に居た女の子の事をばあちゃんに話した。
ばあちゃんはその話を聞くと、何の木かわからないけど葉っぱのいっぱい付いた枝を持ってきて、俺の頭から背中、腰にかけて2〜3回払った。
一体何事かと聞くと、お前が会ったのは『やまけらし様』だ、と教えてくれた。

ばあちゃんの話によると、背中に落ちてきた物は俺を向こうの世界に引っ張ろうとしたかなり性質の悪いもので、そのままだったら確実に引っ張られてたらしい。
そして峠の途中で会った女の子が『やまけらし様』だそうだ。

『やまけらし様』は山の神様の子供で、全部で12人いるらしい。
普段は人に対して特に何をするでもなく山を遊びまわってるだけなのだが、俺に憑いた物がよほど悪かったのかそれを払って捨ててくれたそうだ。
無邪気で純粋な『やまけらし様』はきっと、とんでもない物を背負ってるお前が可哀想に見えて取ってくだすったんじゃろ・・・との事だった。

俺はなんとか『やまけらし様』にお礼をしようとお供え物をあげる事にした。
昔は12足の小さな草鞋を供えたらしかったので、俺も供えようとしたけど草鞋なんてどこにも売ってない・・・。

ふと『やまけらし様』を思い出すとなかなか現代風な格好をしていたので、小児用の動きやすいスニーカーを12足供える事にした。
とりあえず2足買って朝の登校時、あの峠の中腹の草むらに揃えて置いていた。

帰りに無くなってるか確認したかったけど、ばあちゃんの話じゃ夕暮れの時間は良くないものがうろつくから危ないという事で、次の朝の登校時にまた同じ場所を見に行くと靴が無くなっていた。
きっと『やまけらし様』が気に入って履いてくれたんだろうと思う。

お小遣いの関係で1週間に2足ずつしか供えれないけど、来週には全部供えれる。
走りやすいスニーカーを履いて山の中を遊びまわってる『やまけらし様』を想像すると自然とニヤけてしまう。

いつかまた目の前に現れてくれないかな・・・
と淡い期待を抱く俺の登校ルートは、自然と山越えになってしまった。
 
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リョウメンスクナ

452 その1:2005/09/21(水) 16:10:58 ID:GJUzoiep0

俺、建築関係の仕事やってんだけれども、先日、岩手県のとある古いお寺を解体することになったんだわ。
今は利用者もないお寺ね。
んでお寺ぶっ壊してると、同僚が俺を呼ぶのね。「~、ちょっと来て」と。
俺が行くと、同僚の足元に、黒ずんだ長い木箱が置いてたんだわ。

俺「何これ?」
同僚「いや、何かなと思って・・・本堂の奥の密閉された部屋に置いてあったんだけど、ちょっと管理してる業者さんに電話してみるわ」

木箱の大きさは2mくらいかなぁ。
相当古い物みたいで、多分木が腐ってたんじゃないかな。
表に白い紙が貼り付けられて、何か書いてあるんだわ。

相当昔の字と言う事は分ったけど、凡字の様な物も見えたけど、もう紙もボロボロで、何書いてるかほとんどわからない。

かろうじて読み取れたのは、
『大正??年??七月??ノ呪法ヲモッテ、両面スクナヲ???二封ズ』
的な事が書いてあったんだ。

木箱には釘が打ち付けられてて開ける訳にもいかず、業者さんも
「明日、昔の住職に聞いてみる」
と言ってたんで、その日は木箱を、近くのプレハブに置いておく事にしたんだわ。


453 その2:2005/09/21(水) 16:31:26 ID:GJUzoiep0

んで翌日、解体作業現場に着く前に、業者から電話かかってきて、

業者「あの木箱ですけどねぇ、元住職が、絶対に開けるな!!って凄い剣幕なんですよ。
なんでも、『自分が引き取る』って言ってるので、よろしくお願いします」

俺は念のため、現場に着く前に現場監督に木箱の事電話しておこうと思い、

俺「あの~、昨日の木箱の事ですけど」
監督「あぁ、あれ!お宅で雇ってる中国人(留学生)のバイト作業員2人いるでしょ?
そいつが勝手に開けよったんですわ!!とにかく早く来てください」

嫌な予感がし、現場へと急いだ。
プレハブの周りに5~6人の人だかり。
例のバイト中国人2人が、放心状態でプレハブの前に座っている。

監督「こいつがね、昨日の夜中、仲間と一緒に面白半分で開けよったらしいんですよ。
で、問題は中身なんですけどね・・・・ちょっと見てもらえます?」

単刀直入に言うと、両手をボクサーの様に構えた、人間のミイラらしき物が入っていた。
ただ異様だったのは・・・・頭が2つ。
シャム双生児?みたいな奇形児いるじゃない。
多分ああいう奇形の人か、作り物なんじゃないかと思ったんだが・・・・

監督「これ見てね、ショック受けたんか何か知りませんけどね、この2人何にも喋らないんですよ」

中国人2人は、俺らがいくら問いかけても、放心状態でボーっとしていた。
(日本語はかなり話せるのに)


459 その3:2005/09/21(水) 17:07:49 ID:GJUzoiep0

あ、言い忘れたけど、そのミイラは、頭が両側に2つくっついてて、腕が左右2本ずつ、足は通常通り2本。
という、異様な形態だったのね。
俺もネットや2ちゃんとかで色んな奇形の写真見たことあったんで、そりゃビックリしたけど、あぁ、奇形か作りもんだろうな、と思ったわけね。

んで、例の中国人2人は一応病院に車で送る事になって、警察への連絡はどうしようかって話をしてた時に、元住職(80歳超えてる)が、息子さんが運転する車で来た。

開口一番、
住職「空けたんか!!空けたんかこの馬鹿たれが!!しまい、空けたらしまいじゃ」

俺らはあまりの剣幕にポカーンとしてたんだけど、住職が今度は息子に怒鳴り始めた。
岩手訛りがキツかったんで標準語で書くけど、

住職「お前、リョウメンスクナ様をあの時、京都の~寺(聞き取れなかった)に絶対送る言うたじゃろが!!
送らんかったんかこのボンクラが!!馬鹿たれが!!」

ホント80過ぎの爺さんとは思えないくらいの怒声だった。

住職「空けたんは誰?病院?その人らはもうダメ思うけど、一応アンタらは祓ってあげるから」

俺らも正直怖かったんで、されるがままに何やらお経みたいの聴かされて、経典みたいなので、かなり強く背中とか肩とか叩かれた。
結構長くて、30分くらいやってたかな。

住職は木箱を車に積み込み、別れ際にこう言った。

「可哀想だけど、あんたら長生きでけんよ」

その後、中国人2人の内1人が、医者も首をかしげる心筋梗塞で病室で死亡、もう1人は精神病院に移送。
解体作業員も3名謎の高熱で寝込み、俺も釘を足で踏み抜いて5針縫った。

まったく詳しい事は分らないが、俺が思うに、あれはやはり人間の奇形で、差別にあって恨みを残して死んでいった人なんじゃないかと思う。

だって物凄い形相してたからね・・・・
その寺の地域に昔部落の集落があった事も何か関係あるのかな。
無いかもしれないけど。長生きはしたいです。


468 その3:2005/09/21(水) 17:40:58 ID:J0sPTefW0

俺だってオカ板覗くらいだから、こういう事には興味しんしんなので、真相が知りたく何度も住職に連絡取ったんだけど、完全無視でした。
しかし、一緒に来てた息子さん(50過ぎで不動産経営)の連絡先分ったんで、この人は割と明るくて派手めの人なんで、もしかしたら何か聞けるかも?と思い、今日の晩(夜遅くだけど)飲みに行くアポとれました。

何か分ったら明日にでも書きますわ。


476 本当にあった怖い名無し:2005/09/21(水) 18:24:34 ID:K2+tPFpq0

リョウメンスクナの話。
『宗像教授伝奇考』という漫画に出てきた覚えがある。

スクナ族という、恐らく大昔に日本へ来た外国人ではないかと思われる人が、太古の日本へ文化を伝えた。
それが出雲圏の文化形成となり、因幡の白ウサギの伝説も、オオクニヌシノミコトの国造りの話も、これをモチーフとした話だろう、と。

そして、大和朝廷による出雲の侵略が起こり、追われたスクナ族がたどり着いたのが今の飛騨地方だった。
日本書紀によれば、飛騨にスクナという怪物がおり、人々を殺したから兵を送って退治した、という話が書かれている、と。

つまり、スクナというのは、大和朝廷以前の時代に日本へ文化を伝えた外来人のことで、恐らくは古代インドの製鉄を仕事とする(そして日本へ製鉄を伝えたであろう)人々のことではないか、と書かれていた。

そして、出雲のある場所で見つけた洞窟の奥にあったものが、『リョウメンスクナ』(両面宿儺)の像だった、とあった。



477 476:2005/09/21(水) 18:40:24 ID:K2+tPFpq0

スクナ族は、日本へ羅魔船(カガミノフネ)で来た、と書かれ、鏡のように黒光する船であったとのこと。
羅魔は『ラマ』で、黒檀系の木の名である、と書かれていたけど、黒ずんだ長い木箱とあったので、これももしかするとラマなのかも・・・?

とすると、リョウメンスクナ様も、逃げ延びて岩手地方に来た、スクナ族の末裔なのかもしれないな。
・・・・と、オカ板的にはあわない内容かも、と思いつつ書いてみたが。



491 452:2005/09/21(水) 22:27:34 ID:ERc7KoX60

すんません。
直前になって、何か『やはり直接会って話すのは・・・』とか言われたんで、元住職の息子さんに、
『じゃあ電話でなら・・・』『話せるとこまでですけど』
と言う条件の元、話が聞けました。

時間にして30分くらい、結構話してもらったんですけどね。
なかなか話し好きなオジサンでした。要点を主にかいつまんで書きます。

息子『ごめんねぇ。オヤジに念押されちゃって。本当は電話もヤバイんだけど』
俺「いえ、こっちこそ無理言いまして。アレって結局何なんですか??」

息子『アレは大正時代に、見世物小屋に出されてた奇形の人間です』
俺「じゃあ、当時あの結合した状態で生きていたんですか?シャム双生児みたいな?」

息子『そうです。生まれて数年は、岩手のとある部落で暮らしてたみたいだけど、生活に窮した親が、人買いに売っちゃったらしくて。それで、見世物小屋に流れたみたいですね』

俺「そうですか・・・でもなぜ、あんなミイラの様な状態に??」
息子『正確に言えば、即身仏ですけどね』
俺「即身仏って事は、自ら進んでああなったんですか!?」

息子『・・・君、この事誰かに話すでしょ?』
俺「正直に言えば・・・話したいです」

息子『良いよ君。正直で(笑)まぁ私も全て話すつもりはないけどね・・・
アレはね、無理やりああされたんだよ。
当時、今で言うとんでもないカルト教団がいてね。
教団の名前は勘弁してよ。今もひっそり活動してると思うんで・・・』

俺「聞けば誰でも『ああ、あの教団』って分りますか?」
息子『知らない知らない(笑)極秘中の極秘、本当の邪教だからね』
俺「そうですか・・・・」


499 その2:2005/09/21(水) 23:25:00 ID:ERc7KoX60

息子『この教祖がとんでもない野郎でね。外法(げほう)しか使わないんだよ』
俺「外法ですか?」

息子『そう。分りやすく言えば、やってはいけない事だよね。
ちょっと前に真言立川流が、『邪教だ、外法だ』って叩かれたけど、あんな生易しいもんじゃない』

俺「・・・・具体的にどんな?」

息子『で、当時の資料も何も残ってないし偽名だし、元々表舞台に出てきたヤツでもないし、
今教団が存続してるとしても、今現在の教祖とはまったく繋がりないだろうし、名前言うけどさ・・・・
物部天獄(もののべてんごく)。これが教祖の名前ね』

俺「物部天獄。偽名ですよね?」

息子『そうそう、偽名。
んで、この天獄が、例の見世物小屋に行った時、奇形数名を大枚はたいて買ったわけよ。
例のシャム双生児?って言うの?それも含めて』

俺「・・・それで?」

息子『君、コドクって知ってる?
虫に毒って書いて、虫は虫3つ合わせた特殊な漢字だけど』

俺「壺に毒虫何匹か入れて、最後に生き残った虫を使う呪法のアレですか?(昔マンガに載ってたw)」

息子『そうそう!何で知ってるの君??凄いね』
俺「ええ、まぁちょっと・・・それで?」

息子『あぁ、それでね。天獄はそのコドクを、人間でやったんだよ』
俺「人間を密室に入れて??ウソでしょう」

息子『(少し機嫌が悪くなる)
私もオヤジから聞いた話で、100%全部信じてるわけじゃないから・・・もう止める?』

俺「すみません!・・・続けてください」

息子『分った。んで、それを例の奇形たち数人でやったわけさ。
教団本部か何処か知らないけど、地下の密室に押し込んで。
それで、例のシャム双生児が生き残ったわけ』

俺「閉じ込めた期間はどのくらいですか?」

息子『詳しい事は分らないけど、仲間の肉を食べ、自分の糞尿を食べてさえ生き延びねばならない期間、と言ったら大体想像つくよね』

俺「あんまり想像したくないですけどね・・・」


503 その3:2005/09/21(水) 23:47:39 ID:ERc7KoX60

息子『んで、どうも最初からそのシャム双生児が生き残る様に、天獄は細工したらしいんだ。
他の奇形に刃物か何かで致命傷を負わせ、行き絶え絶えの状態で放り込んだわけ。
奇形と言っても、アシュラ像みたいな外見だからね。
その神々しさ(禍々しさ?)に天獄は惹かれたんじゃないかな』

俺「なるほど・・・」

息子『で、生き残ったのは良いけど、天獄にとっちゃ道具に過ぎないわけだから、すぐさま別の部屋に1人で閉じ込められて、餓死だよね。
そして、防腐処理を施され、即身仏に。
この前オヤジの言ってた、リョウメンスクナの完成、ってわけ』

俺「リョウメンスクナって何ですか?」

>>476氏ほど詳しい説明は無かったが、
「『神話の時代に近いほどの大昔に、リョウメンスクナと言う、2つの顔、4本の手をもつ怪物がいた』
と言う伝説にちなんで、例のシャム双生児をそう呼ぶ事にした」と言っていた。

俺「そうですか・・・・」

息子『そのリョウメンスクナをね、天獄は教団の本尊にしたわけよ。呪仏(じゅぶつ)としてね。
他人を呪い殺せる、下手したらもっと大勢の人を呪い殺せるかも知れない、とんでもない呪仏を作ったと、少なくとも天獄は信じてたわけ』

俺「その呪いの対象は?」
息子『・・・・国家だとオヤジは言ってた』
俺「日本そのものですか?頭イカレてるじゃないですか、その天獄って」

息子『イカレたんだろうねぇ。でもね、呪いの効力はそれだけじゃないんだ。
リョウメンスクナの腹の中に、ある物を入れてね・・・・』

俺「何です?」

息子『古代人の骨だよ。大和朝廷とかに滅ぼされた(まつろわぬ民)、いわゆる朝廷からみた反逆者だね。逆賊。
その古代人の骨の粉末を腹に入れて・・・・』

俺「そんなものどこで手に入れて・・・・!?」

息子『君もTVや新聞とかで見たことあるだろう?
古代の遺跡や墓が発掘された時、発掘作業する人たちがいるじゃない。
当時はその辺の警備とか甘かったらしいからね・・・・・
そういう所から主に盗ってきたらしいよ』


511 その4:2005/09/22(木) 00:13:22 ID:mdYgh3LB0

俺「にわかには信じがたい話ですよね・・・・」

息子『だろう?私もそう思ったよ。でもね、大正時代に主に起こった災害ね、これだけあるんだよ。
1914(大正3)年:桜島の大噴火(負傷者 9600人)
1914(大正3)年:秋田の大地震(死者 94人)
1914(大正3)年:方城炭鉱の爆発(死者 687人)
1916(大正5)年:函館の大火事
1917(大正6)年:東日本の大水害(死者 1300人)
1917(大正6)年:桐野炭鉱の爆発(死者 361人)
1922(大正11)年:親不知のナダレで列車事故(死者 130人)
そして、1923年(大正12年)9月1日、関東大震災。死者・行方不明14万2千8百名』

俺「それが何か?」
息子『全て、リョウメンスクナが移動した地域だそうだ』

俺「そんな!教団支部ってそんな各地にあったんですか?と言うか、偶然でしょう
(流石に笑った)」

息子『俺も馬鹿な話だと思うよ。で、大正時代の最悪最大の災害、関東大震災の日ね。
この日、地震が起こる直前に天獄が死んでる』

俺「死んだ?」
息子『自殺、と聞いたけどね。『純粋な日本人ではなかった』と言う噂もあるらしいが・・・・』

俺「どうやって死んだんですか?」

息子『日本刀で喉かっ斬ってね。
リョウメンスクナの前で。それで血文字で遺書があって・・・・』

俺「なんて書いてあったんですか??」


日 本 滅 ブ ベ シ


515 その5:2005/09/22(木) 00:27:58 ID:mdYgh3LB0

俺「・・・・それが、関東大震災が起こる直前なんですよね?」
息子『そうだね』
俺「・・・・偶然ですよね?」
息子『・・・偶然だろうね』

俺「その時、リョウメンスクナと天獄はどこに・・・・??」
息子『震源に近い、相模湾沿岸の近辺だったそうだ』

俺「・・・その後、どういう経由でリョウメンスクナは岩手のあのお寺に?」
息子『そればっかりは、オヤジは話してくれなかった』

俺「あの時、住職さんに『なぜ京都のお寺に輸送しなかったんだ!』みたいな事を言われてましたが、あれは??」

息子『あっ、聞いてたの・・・・
もう30年前くらいだけどね、私もオヤジの後継いで坊主になる予定だったんだよ。
その時に俺の怠慢というか手違いでね・・・・その後、あの寺もずっと放置されてたし・・・・
話せることはこれくらいだね』

俺「そうですか・・・・今、リョウメンスクナはどこに??」

息子『それは知らない。と言うか、ここ数日オヤジと連絡がつかないんだ・・・・
アレを持って帰って以来、妙な車に後つけられたりしたらしくてね』

俺「そうですか・・・・でも全部は話さないと言われたんですけど、なぜここまで詳しく教えてくれたんですか?」

息子『オヤジがあの時言ったろう?『可哀想だけど君たち長生きできないよ』ってね』

俺「・・・・」
息子『じゃあこの辺で。もう電話しないでね』
俺「・・・・・ありがとうございました」

以上が電話で話した、かいつまんだ内容です・・・・・
はっきり言って、全ては信じてません。

何か気分悪くなったので、今日は落ちますね。
 
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巨頭オ

数年前、ふとある村の事を思い出した。

一人で旅行した時に行った小さな旅館のある村。
心のこもったもてなしが印象的だったが、なぜか急に行きたくなった。
連休に一人で車を走らせた。
記憶力には自信があるほうなので、道は覚えている。

村に近付くと、場所を示す看板があるはずなのだが、その看板を見つけたときあれっと思った。
「この先○○km」となっていた(と思う)のが、「巨頭オ」になっていた。
変な予感と行ってみたい気持ちが交錯したが、行ってみる事にした。

車で入ってみると村は廃村になっており、建物にも草が巻きついていた。
車を降りようとすると、20mくらい先の草むらから、頭がやたら大きい人間?が出てきた。
え?え?とか思っていると、周りにもいっぱいいる!

しかもキモい動きで追いかけてきた・・・。
両手をピッタリと足につけ、デカイ頭を左右に振りながら。
車から降りないでよかった。

恐ろしい勢いで車をバックさせ、とんでもない勢いで国道まで飛ばした。
帰って地図を見ても、数年前に言った村と、その日行った場所は間違っていなかった。

だが、もう一度行こうとは思わない。
 
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しっぽ

220 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 13:21

「しっぽ」

これは、俺の祖父の父(俺にとっては曾じいちゃん?)が体験した話だそうです。
大正時代の話です。大分昔ですね。
曾じいちゃんを、仮に「正夫」としときますね。

正夫は狩りが趣味だったそうで、暇さえあれば良く山狩りに行き、イノシシや野兎、キジなどを獲っていたそうです。
猟銃の腕も、大変な名人だったそうで狩り仲間の間では、ちょっとした有名人だったそうです。

「山」という所は、結構不思議な事が起こる場所でもありますよね。
俺のじいちゃんも、正夫から色んな不思議な話を聞いたそうです。
今日は、その中でも1番怖かった話をしたいと思います。

その日は、カラッと晴れた五月日和でした。
正夫は、猟銃を担いで1人でいつもの山を登っていました。
愛犬のタケルも一緒です(ちなみに秋田犬です)。

山狩りの経験が長い正夫は、1人で狩りに行く事が多かった様です。
その山には正夫が自分で建てた山小屋があり、獲った獲物をそこで料理して、酒を飲むのが1番の楽しみでした。

その日は早朝から狩りを始めたのですが、獲物はまったく捕れませんでした。
既に夕方になっており、山中は薄暗くなってきています。
正夫は、「あと1時間くらい頑張ってみるか」と思い、狩りを続ける事にしました。

それから30分ほど経った時です。
正夫が今日の獲物をほぼ諦めかけていると、突然目の前に立派なイノシシが現れました。
子連れです。
正夫は狙いを定め弾を撃とうとしましたが、突然現れた人間にビックリしたイノシシは、急反転して山道を駆け上がって行きます。

正夫は1発撃ちましたが、外れた様です。
愛犬のタケルが真っ先にイノシシを追います。
正夫もそれに続き、険しい山道を駆け登りました。


237 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 13:55

「しっぽ」続き

15分ほど追跡したでしょうか。
とうとう正夫はイノシシの親子を見失ってしまいました。
タケルともはぐれてしまって途方に暮れていた所、遠くでタケルの吠える声が聞こえます。
その吠え声を頼りに、正夫は山道を疾走しました。

さらに10分ほど走った所にタケルはいました。
深い茂みに向かって激しく吠えています。
そこは、左右に巨大な松の木がそびえており、まるで何かの入り口の様にも見えます。

正夫は、そこを良く知っていました。
狩り仲間の、いえその周辺の土地に住む全ての人々の、暗黙のタブー、「絶対入ってはいけない場所」でした。
正夫は、幼い頃から何度も両親に聞かされていたそうです。
「あそこは山の神さんがおるでなぁ。迂闊に入ったら喰われてまうど」と。

しかし、何故かその禁断の場所からさらに奥へ進むと、獲物が面白い様に捕れるのだそうです。
ただ、掟を破り、そこに侵入した猟師などは、昔から行方不明者が後をたたないそうです。

しかし、タケルがその茂みに向かって果敢に吠えています。
あのイノシシ親子が近くにいることは間違いないのです。

正夫は誘惑に負け、禁断の地へと足を踏み入れてしまいました。
時刻は午後5時を過ぎており、まだ何とか周りは肉眼で見渡せますが、狩りをするにはもう危険な明るさです。
タケルも先程から吠えるのを止めています。

「流石にもう諦めるかな」と正夫が思っていた時、再びタケルが猛然と吠え出し、駆け出します。
正夫もそれを追い、50mほど走った所でタケルが唸り声を上げながら腰を落として、威嚇の体勢をとっていました。
「とうとう見つけたか」と正夫は思い、前方を見ると、そこは少し開けた広場のようになっていました。

そこに黒い影がうずくまって、何かを咀嚼する様な音が聞こえてきました。
凄まじいほどの獣臭が辺りに漂っています。

正夫は唾を飲み込み、地面に片膝をついて猟銃を構えました。


241 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 14:28

「しっぽ」続き

「イノシシじゃないな」。正夫はそう判断しました。
イノシシにしては体が細すぎるし、体毛もそんなには生えていません。
「狼か?」一瞬そう思いましたが、この山中に狼がいるなんて聞いたことも見た事もありません。

良く見ると、「それ」は地面に横たわった、先程のイノシシの子供を食べています。
獲物を横取りされた様に感じた正夫は、「それ」に向かって猟銃の狙いを定め、撃とうとしましたが、引き金にかけた指が動かないのです。
それどころか、体が金縛りにあったかの様に動きません。
奥歯だけは恐怖のあまりにガチガチ鳴っています。

そして、正夫の気配に気がついたのか、「それ」は食事を止め、ゆっくりと正夫の方に顔を向けました。
どう見ても、それは人間の顔だったそうです。
しかも、2~3歳くらいの赤子の。
体長は1m50cm程で、豹の様な体、薄い体毛。
分かり易く言うならば、「豹の体に顔だけ人間の赤子」と言った風貌です。

「バケモンだ・・・・」。

正夫の恐怖は絶頂に達しました。
「それ」はイノシシの血でギトギトになった口を舌で舐め回しながら、正夫に近づいて来ます。

「殺される」。正夫がそう思った瞬間、タケルが「それ」に飛びかかりました。
タケルは「それ」の右前足に食らい付き、首を激しく振っています。
「それ」は人間の赤子そっくりの鳴き声をあげ、左足でタケルの鼻先を引っ掻いています。

暫く唖然としていた正夫ですが、我に返ると体が自由に動く事に気がつきました。
すぐさま1発撃ちます。不発でした。「そんな馬鹿な」。
正夫は猟銃の手入れを欠かさずやっており、今日も猟に出る前に最終確認をしたばかりです。

もう1度引き金を引きました。不発です。
正夫が手間取っている内に、「それ」はタケルの首筋に食らい付きました。
タケルが悲壮な鳴き声を上げます。
正夫は無我夢中で腰に付けていた大型の山刀を振りかざし、こちらに背を向けている「それ」の背中に斬りつけました。

「るーーーーーーあーーーーーー」

と発情期の猫の様な鳴き声で「それ」は鳴きましたが、またタケルの首筋に喰らいついたままです。
正夫はもう一度山刀を振りかぶり、「それ」の尻尾を切断したのです。


244 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 14:51

「しっぽ」続き

尻尾を切断された「それ」は、「あるるるるるるるるるる」と叫び声をあげ、森のさらに奥の茂みの中へと消えていきました。
正夫は暫くの間、呆然と立ち尽くしていましたが、タケルの苦しげな「ハッハッハッ」という息づかいを聞いて、我に返りました。

タケルの首筋には、人間の歯形そっくりの噛み後がついていました。
出血はしていましたが、傷はそれほど深くなく、正夫は消毒薬と布をタケルの首に当て、応急手当をしてやりました。
何とか自力で歩ける様子です。
モタモタしていると、またあのバケモノが襲ってこないとも限りません。
正夫はタケルと共に急いで山道を下りました。

やがて、正夫の山小屋が見えてきました。
ここからだと、正夫の村まで30分とかかりません。
安堵した正夫は、さらに足を早めて村へと急ぎました。

「変だな」と正夫が思ったのは、山小屋から下って15分ほど経った時です。
同じ道をグルグル回っている様な錯覚を感じたのです。
この山は、正夫が幼少の頃から遊び回っている山なので、道に迷うなどという事は、まずありえないのです。
言いしれぬ不安を感じた正夫は、さらに足を早めました。

さらに15分経った時。

「そんな馬鹿な」

目の前に、さっきの山小屋があったのです。
正夫は混乱しましたが、「あまりの出来事に気が動転し、道を間違えたのだろう」と思い、もう1度、いつもの同じ道を下りました。

しかし、すぐさま正夫は絶望感に襲われました。
どうしても山小屋に戻ってきてしまうのです。
タケルも息が荒く、首に巻いた布からは血が滲んでいます。

正夫は気が進みませんでしたが、今日は山小屋に泊まる事に決めました。


246 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 15:10

「しっぽ」

正夫が山小屋の中へ入ったときは、既に午後8時を過ぎていました。
急に安堵感、疲労感、空腹感が正夫を襲い、正夫は床に大の字になって寝転がりました。
そして、先程遭遇したバケモノの事を考えていました。

「やっぱり、あれは山の神さんだったんじゃろか」

そう思うと体の震えが止まらなくなり、正夫は気付けに山小屋に保存してある焼酎を飲み始めました。
保存食用のイノシシの燻製もありましたが、あまり喉を通りませんでした。
タケルに分けてやると、喜んで食いつきます。

「今日は眠れねぇな」。

そう思った正夫は、猟銃を脇に置き、寝ずの番をする事を決心しました。

「ガリガリ ガリガリ」

何かを引っ掻くような音で、正夫は目が覚めました。
疲労感や酒も入っていたので、いつの間にか寝てしまっていた様です。
時計を見ると、午前1時過ぎでした。

「ガリガリ ガリガリ」

その音は、山小屋の屋根から聞こえてきます。
タケルも目が覚めた様で、低く唸り声をあげています。
正夫も無意識の内に猟銃を手にとっていました。

「まさか、あいつが来たんじゃなかろうか・・・・」

そう思った正夫ですが、山小屋の外に出て確かめる勇気も無く、猟銃を握りしめて、ただ山小屋の天井を見つめていました。


250 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 15:29

「しっぽ」続き

それから10分ほど、天井を爪で引っ掻くような音が聞こえていましたが、やがてそれも止みました。
正夫にとっては、永遠に続く悪夢の様な時間でした。
音が止んでも、正夫は天井をじっと睨んだままでしたが、やがて「ボソボソ」と人間の呟く声の様な音が聞こえてきたのです。

「・・・っぽ・・・・っ・・・ぽ」

正夫は恐怖に震えながらも耳を澄まして聞いていると、急にタケルが凄い勢いで吠え始めました。
そして、何かが山小屋の屋根の上を走る様な音が聞こえ、何か重い物が地面に落ちる音がしました。
タケルは、今度は山小屋の入り口に向かって吠え続けています。

「ガリガリ ガリガリ」

さっき屋根の上にいた何かが、山小屋の入り口の扉を引っ掻いている様です。
タケルは尻尾を丸め、後退しながらも果敢に吠え続けています。

「だっ、誰だ!!」

思わず正夫は叫びました。猟銃を扉に向かって構えます。
すると、引っ掻く様な音は止み、今度はその扉のすぐ向こう側から、ハッキリの人間の子供の様な声が聞こえてきました。

「しっぽ しっぽ」

あいつだ。正夫は恐怖に震えました。
ガチガチ鳴る奥歯を噛み締め、「何の用だ!!」と叫びました。
タケルはまだ吠え続けています。

「しっぽ しっぽ わたしのしっぽを かえしておくれ」

「それ」はハッキリと、人間の言葉でそう言ったのです。
正夫は、堪らずに扉に向かって、散弾銃を1発撃ちました。


252 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 15:44

「しっぽ」続き

「きょっ」と奇妙な叫び声が扉の向こうから聞こえ、正夫は続けざまに2発、3発と撃ちました。
散弾銃に空けられた扉の穴から、真っ赤に血走った目が見えました。

「しっぽ しっぽ わたしのしっぽを かえしておくれ」
人間の幼児そっくりの声で、「それ」は言いました。

「尻尾なんて知らん!!帰れ!!」
正夫は続けざまに引き金を引こうとしましたが、体が動きません。

「しっぽ しっぽ わたしのしっぽを かえしておくれ」

「それ」は壊れたテープレコーダーの様にただそれだけをくり返します。

「し、知らん!!あっちにいってくれ!!」
「しっぽ しっぽ わたしのしっぽを かえしておくれ」

再びガリガリと扉を引っ掻きながら、「それ」は扉の穴から怒り狂った赤い目で正夫を見ながらくり返し言います。
タケルも吠えるのを止めて尻尾を丸めて縮こまっています。

「俺じゃない!!お前のしっぽなんて知らねぇ!!あっちにいけ!!」

正夫は固まったままの体で絶叫しました。
すると「それ」は、

「いいや おまえが きったんだ!!!」

と叫び、扉を破って中に入ってきたのです。


257 名前:もつお ◆2.80omBY0c 投稿日:03/07/19 16:03

「しっぽ」続き

正夫の記憶は、それから途切れ途切れになっていました。
扉を破って現れた、幼児の顔。怒りを剥き出しにした血走った目。鋭い前足の爪。
自分の顔に受けた焼けるような痛み。
「それ」に飛びかかるタケル。無我夢中で散弾銃を撃つ自分。

正夫が気がついた時は、村の病院のベッドの上でした。
3日間昏睡状態だったそうです。
正夫の怪我は左頬に獣に引き裂かれた様な裂傷、右足の骨折、体のあちこちに見られる擦り傷などの、かなりの重傷でした。

正夫は、村人には「熊に襲われた」とだけ言いました。
しかし、何となく正夫に何が起こったかを感づいた様で、次第に正夫は村八分の様な扱いをうけていったのです。

やがて、正夫は東京に引っ越し、そこで結婚し、俺の祖父が生まれました。
ちなみに、この話は正夫が肺ガンで亡くなる3日前に、俺の祖父に話して聞かせたそうです。
地名は、和歌山県のとある森深い山中での出来事だとだけ言っておきます。

ちなみに、愛犬のタケルですが、まるで正夫を守るかの様に、正夫の上に覆い被さって死んでいたそうです。
肉や骨などはほぼ完璧な状態で残っていたそうですが、何故か内臓だけが1つも残らず綺麗に無くなっていたそうです。

長文スマソ
 
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「危害は加えませぬ」

870 バウアー1 2006/05/10(水) 16:21:53 ID:zAKADxjj0

俺の親友に、稲葉と言う男がいる。
あだ名はもちろん、イナバウアー。もしくはバウアー。 または、イナバ物置。
酷い時は「物置」とか「100人乗っても」とか呼ばれる時もある。

こいつが結構霊感あるヤツで、見えるらしい。
こいつとつるんでると、たまに不思議な体験が出来る。
共に、オカルト好きで女好きと言うしょーもない2人だ。

その日も、街でナンパしてたんだが、2~3時間粘っても、何にも釣れない。
夜の12時にもなったし、こんな日もあるよな、そろそろ帰るかぁ、と車のパーキングに戻ろうと歩いていた時、2人組の酔いどれギャルが目に止まった。イケる。

いつもの様に、最初に俺が声かけて、後でバウアーが入ってくる。バウアーは意外とシャイだ。
酔いのせいか、もともと軽いのか知らんが、すぐさま車に乗ってきた。
何やかんやと話してる内に、どういう流れでか怪談話になってきた。
じゃあ、近くに「出る」と言われてる山があるんで、行ってみようかと。夜景も綺麗だし。

トイレに行きたいと言う2人をコンビニで降ろし、車内で待っていた俺らは妄想を膨らませていた。

「おい、物置。スポット見終わったら速攻ホテールだろ」
「俺は今日じゃなくてもいいけど…」
「このつくね野郎!!掘り出し物は明日になれば、誰かに持ってかれるかもしれないんだよッ!?」
「じゃあ向こうが同意したらね…」
「そらそうよ」

やがて2人がトイレから戻って来た。


871 バウアー2 2006/05/10(水) 16:22:52 ID:zAKADxjj0

小1時間ほど経って、目的地の山の中腹、第一駐車場についた。
ギャル2人組は、1人は寝て、1人は元気に喋ってると言う状況だ。
出る、と言われてる山頂は、まだ20分ほどかかる。

「なぁ、今日はここまでにしないか?…何か山の様子がおかしい」
「なぁ~に言ってんの!!そこんとこど~なってんの!!肝試し!!さっさと肝試し!!」

と渋るバウアーを騒音ババァ並みのテンションで説き伏せた俺は、山頂へと車を出した。

ついた頃には、寝ていた子も起き出して、4人で車を降りてみた。
辺りは砂利の広場の様になっており、かなり広い。
いつもは夜景目当てのカップルの車で賑わっているのだが、平日の深夜と言う事もあり、俺たちだけだった。
ギャル2人組は、夜景が綺麗だと騒ぎ、写メ等を撮っていた。

問題の「出る」と言われる場所は、山頂の広場から、少し横にずれた小道から登る道の途中、もしくはその終点にある古い社の様な物の近辺だ。
所が、いざとなると、山の夜の静けさや、冷気に 臆したのか、ギャル2人組は車で待っていると言い出した。
仕方が無いので、俺たち男2人だけでパッと社まで登り、ササッと帰ってくる事にした。

「おい、さっきの山が変って何?」
「俺らが来た事にあんまりいい気がしてないみたいだな」
「誰が」
「氏神?山神かなんか知らないけど、人の霊じゃない」
「そんなの、さっきコンビニで買ってもらった、いなり寿司で大人しくなるよ」
「でっ、デタラメだよッ、そんなのッ!!」


872 バウアー3 2006/05/10(水) 16:23:47 ID:zAKADxjj0

くだらない話をしながらも、俺たちは社に到着した。普通のこじんまりとした社で、比較的新しい花と、団子が備えてあった。
一応、手を合わせて拝んだ俺たちは、sexの事しか頭に無かったので、ギャルらが待つ車へと急いだ。
その降りの帰り道。

「危害は加えませぬ」

えっ?
山道と平行した、山林の方から、老人とおぼしき声が聞こえた。

「危害は加えませぬ」

もう1度。
こんな夜中に、人にしろ霊にしろ、どっち道怖いので、駆け足で俺たちは降り始めた。

「危害は加えませぬ危害は加えませぬ危害は加えませぬ危害は加えませぬ」

俺たちと同じスピードで、山林の中の声も追ってくる。
もはやパニック状態だ。

「あれなんだ!?」
「知らねーけど捕まったら以前と同じ暮らしは出来ないよッ!!」

前方に、山頂の広場が見えてきたその瞬間、

「危   害   は   加   え   ま   せ   ぬ」

山林から、目の前にヌッとそれは現れた。
顔は赤ん坊の様だが、体が、どう言って良いのか分からないが、山猫の様な感じだった。

俺たちは声にならない叫びを上げ、車へと滑り込んだ。
ギャル達も、何が起こったのかと言う表情をしている。

「どっ、どれだけベビーフェイスなんだよッ!!」
「助けてガリレオ!!」


873 バウアー完 2006/05/10(水) 16:24:34 ID:zAKADxjj0

山道を転落してもおかしくないスピードで、何とか車は市街へと到着した。
ギャル達も何かを察したのか、終始無言のままだった。
何か白けてしまったので、その日は番号やメアド交換して分かれる事になった。

別れ際に、俺は聞いた。

「俺らを待ってる間、何か変わった事なかった?」

「う~ん、直接車から出てハッキリ見たわけじゃないけど、00君たちが登っていったすぐ5分後くらいに、野良犬か野犬みたいなのが車のそばに来たの。人懐こいのか、しきりに鼻を鳴らして、車に体こすり付けてたよ」

「もう一匹いたのかな」

ギャルたちを降ろした後、バウアーがぽつりと言った。
 
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ウヅガアさん

985 本当にあった怖い名無し sage 2006/06/17(土) 00:01:49 ID:m98Vn9eW0

明日も早いので投下するだけ投下します。
あ、ところで、けっこう前に、神社の下で寝泊まりしてたら幽霊だと思われてばあさんが死んだって話なかったっけ? 
あれまとめサイト入ってる?

それでは投下。


うちは田舎の農家で、母屋、倉、便所に囲まれるみたいに庭がある。
で、庭の隅の方に三十センチくらいの高さのまるっこい石が置いてあって、正月に餅を挙げたりする。
父親はその石をウヅガアさんと呼んでいた。

小さい頃、秘密基地に使おうと思って手を出したら、軽トラの掃除してた母親がすっ飛んできてぶん殴られた覚えがある。触ってはいけないものらしい。
そのウヅガアさんの話。


確か三が日が過ぎてすぐだったと思う。
夜中、ウヅガアさんの方から猫の声がした。ぎゃあぎゃあ鳴いている。
当時、同じ部屋で寝起きしていた俺と兄は顔を見合わせた。猫の季節ではない。

俺「餅かなあ」
兄「餅じゃない」

ウヅガアさんに挙げる餅は大人の掌ぐらいのサイズで、翌朝くらいには狸か犬か知らないけど、動物が食べたようなあとが残っている。
俺も兄も、きっと猫がウヅガアさんの餅を食いにきて喧嘩でもしてるんだろうと思った。
無視する事に決めて、しばらくは馬鹿話をしたりしていた。
でもその内鳴き声はどんどん大きくなってきて、窓のすぐ外で鳴いてるみたいになってきた。

とうとう兄が立ち上がった。

兄「うるせえなあ。おい、k(俺)一緒にこい」
俺「一人で行きゃいいじゃん」
兄「こういう時は一人で行かないもんなんだよ」

という訳で、俺と兄は懐中電灯を持って庭へ出た。
寒くて寒くて、パジャマの上にコート羽織ってニットまで被ったのを覚えている。
兄も「さみー」等と言いつつ、庭を突っ切ってウヅガアさんの方へ歩いていった。

兄「あ、やっぱ猫じゃ…うおおっ?!」

猫ではなかった。

そこにいたのは、裸の子供だった。
ウヅガアさんにべっとり張りついてぎゃあぎゃあ鳴いていた。


986 本当にあった怖い名無し sage 2006/06/17(土) 00:04:18 ID:qg6GHBxg0

兄と俺は即座に逃げ出した。うしろからぎゃあぎゃあ言う声がする。
必死で走って、玄関に飛び込むと普段はかけない鍵をかけ先を争って二階の自室に飛び込んだ。
ドアを閉めて顔を見合わせて、俺たちは意味もなく肩を叩き合った。

俺「何あれ?!何あれ?!」
兄「知らねーよ!!何あれ?!」

俺も兄も半泣きだった。
とにかくその日は兄のベッドに二人で潜り込んで朝までガンガンにハードロックかけて震えていた。
曲と曲の合間に、窓のすぐ外からぎゃあぎゃあ言う声が聞こえた気がした。

翌朝、結局一睡も出来なかった俺たちは、母親が食事の用意を始める音を聞くと食堂へ駆け下りて怪訝な顔をする母親に喚き立てた。

兄「母ちゃん!!ゆうべお化け見た!!」
俺「ウヅガアさんのとこでお化け見た!!」

母親の顔がはっきり強張った。

母「何?! あんたら、見たの?!」
兄「ぎゃーぎゃー言うから猫だと思って追っ払いに行ったら、おかっぱで裸の…」
母「言うな!!!」

母親の剣幕に俺たちはビックリして固まった。
母親は濡れた手で兄ちゃんと俺に平手打ちを喰らわせると、

「父ちゃんのところに行け!!」

と怒鳴った。もう訳が分からない。
兄と俺は本気で泣きながら父親のところへ行って、まだ寝ていた父親を叩き起こすと一部始終を話した。

父親は難しい顔をして聞いていたが、最後に一言尋ねた。


987 続き sage 2006/06/17(土) 00:05:18 ID:qg6GHBxg0

父「y(兄)、お前、ウヅガアさんのとこで、喋ったか」
兄「…喋った…」
父「kは?」
俺「喋ってない…」

「そうか」というと父親は俺に待っていろと言い、兄だけ連れて部屋を出た。
俺は一人でいるのが心底嫌だったが、去年死んだ校長先生(w)に必死に祈っていた。
(他に身近で死んだ人を思いつかなかった)。

しばらくして父親が帰ってきた。兄はいない。

父「yはしばらくカミのイッドーさんとこに行く。
  お前は川に行って丸い石を年の数だけ拾ってこい。
  拾ったら帰りは振り向くな。家出てから門くぐるまで喋っても駄目だ」

俺は意味が分からないながらも父親の言う通り、丸い石をいくつか拾って帰った。
ウヅガアさんの方は見ないようにした。
戻るとちょうど兄が母親の車に乗せられて出かけて行くところだった。
兄は青い顔をしていた。

石は家の中のいろいろなところに置いた。
玄関、部屋の入り口、便所、風呂、台所とかだったと思う。
最後はウヅガアさんのところに連れて行かれてウヅガアさんの前に最後の一つを置いて、思いっきりその石を踏まされた。
俺はこれでおしまいだった。

しばらく怖くて父親と一緒に寝ていたが、特に変わった事もなかった。


988 続き sage 2006/06/17(土) 00:06:22 ID:qg6GHBxg0

カミのイッドーさんちへ行かされた兄は大変だったらしい。
カミのイッドーさんはいわゆる本家だ。

未だに兄は詳しい事を教えてくれないが、毎日神様拝みをしてお神酒を枕元に挙げて従妹と同じ部屋で寝ていたらしい。
お神酒は朝起きると黄色くなっていたという。
従妹といってももう四十近い人だったのだが、必ず化粧ポーチを足もとに、櫛を枕元において、「カ行」の多い祝詞みたいなものを毎朝称えていたそうだ。

帰ってきたのは十日後だった。
兄はげっそりやつれていて、決してウヅガアさんの方を見ようとしなかった。

それからも餅を挙げたあとはたまに「ぎゃあぎゃあ」が聞こえた。
その度に俺は父親の部屋へ入り浸り、兄は正月をイッドーさんちで過ごす事になった。
未だにアレが何なのかは教えてもらえない。
皆さんも、石にべったり張りつくおカッパの裸の子供を見たら、決して声を出さず他言しない事をお勧めする。

というわけで、これから俺はイッドーさんち行きです。
単位危うくしつつも現世と隔絶した生活を送ってきます。
イッドーさんちで聞いてみるけど、「ぎゃあぎゃあ」に心当たりある人、情報おくれ。

長文ごめん。ほんとごめん。


244 前スレウヅガアです sage 2006/06/18(日) 21:36:39 ID:hbbVXB0p0

一番洒落にならないのは、出かけてた間に集中が終わっていた事だ。
さようなら俺の必修…

イッドーさんちに行ったのは、先日ウヅガアさんを俺が蹴っ飛ばしたから。
酔っぱらってて、自転車から降りた瞬間よろけて蹴っちゃったんだよね。
こりゃヤバいと思って自主的に行きました。
で、イッドーさんち行くなら同じだと思ってカキコ。
結構反応よかったみたいで、良かったですw

以下イッドーさんちで聞いてきた事。


・カミのイッドーさんは「上(地名)の一統さん」
・ウヅガアさんはウジガミさん。旅の山伏かなんかを殺して埋めたとか言うけど多分嘘だろうとの事。

・「ぎゃあぎゃあ」とウヅガアさんは別。ウヅガアさんは家の守り神(でも凄く良く祟る)で、「ぎゃあぎゃあ(イッドーさんたちはワロ(バロ?)といっていた)」はもっと良くないもの。何なのかは教えてもらえなかった。

・イッドーさんちのじいさんの弟も昔見たらしい(推測)。十三歳で死んでいる。
・あの変な祝詞は「カカカイオヤソ、ケカレカンガロ、ククッテカシコン、カシコンデコモ、コモ」(耳コピー)。意味不明w

・イッドーさんちにもウヅガアさんがあった。ウッガアさんと呼ばれていた。
・「ぎゃあぎゃあ」はイッドーさんちには出ない。エダ(分家)ばっかり、四、五回くらい出たが、姿を見たのは前述のじいさんの弟と俺たち、あと近所の人。

・姿を語るといけないらしい。


245 前スレウヅガアです sage 2006/06/18(日) 21:38:37 ID:hbbVXB0p0

意外と早く帰って来れたのは、今回は直接見た訳でも「ぎゃあぎゃあ」の前で喋った訳でもないからだそうです。
但し、蹴っ飛ばしてウヅガアさんを動かしちゃったのはまずかったそうで、しばらく家で神様拝みをして、ウヅガアさんに餅と御幣を挙げなさいとの事。

しかし謎だらけなので、某地方大で民俗学やってる友達に聞いてみました。


・ウヅガアさんは典型的な屋敷神だろう。正月に餅上げるし、一般的に良く祟るから。氏神、内神の転訛(なまり…?)だろう。

・喋ってはいけない、振り向いてはいけないというのは葬式、しかも野辺送りの時の作法に似ている。

・川原石を拾ってくるのはお墓の周りに積んだりする事もある。乳幼児が亡くなったとき、墓石を立てずに川原石を積む事もある。

・年の数、というのが面白い。多分身代わりみたいな意味があるのでは。
・石を踏んだのは、踏む事に呪力があるとされるから。相撲と一緒。(…?)
・従妹は多分姉妹の代わり。姉妹は兄弟に対して強力な呪力を持つとされる。「妹の力」。
・化粧道具と櫛もそう。血のつながった「女」である事が重要。


だそうです。詳しくは概説書を読め、だそうで。
結局謎が増えただけですたorz


246 前スレウヅガアです sage 2006/06/18(日) 21:50:52 ID:hbbVXB0p0

そいでもって「ぎゃあぎゃあ」の容貌についてですがどうなんだろう。
いいのかなこれ。大丈夫かな。
不安なので間接表現で。

まず呪怨の子供にぼさぼさのおかっぱヅラを被せます。
で、もっと目を大きくしてぷにっとさしてなんか「ぽー」って感じの顔にします。
猫みたいにくったりさせてぎゃあぎゃあ鳴かせるとそんな感じ。

あーでも大丈夫かな俺。駄目だったらまたイッドーさんち行きな訳ですがw


445 ウヅガア最終報告 sage 2006/06/21(水) 21:52:43 ID:y2dcypjh0

きっと誰も待ってないと思うけど。
ここ以外に報告できるような場所もないのでorz

イッドーさんちを出て都会でキャリアウーマン(w)してるイッドーさんの長女に話を聞けました。
大人がぼちぼち離してくれたのをまとめた感じらしいです。
つうか俺こんな事してるとその内死ぬんじゃねえのかな。

以下報告。


・「ぎゃあぎゃあ」は「ワロ」で「シロゴ」だ。
・イッドーさんの更に本家(山越えて他県、今はもう死に絶えてる)は、神様拝みをする家で、シロ(寄り代っていうの?)に松葉の人形を使っていた。

・でも実は気合いの入った(w)拝みをする時は、子供をシロに使う。その子供はシロ用に生ませた子で、よく分からん儀式をしたあとで父と娘か母と息子で生む。とにかく沢山うんで、全員まとめて奥座敷(でかい座敷牢のようなものではないかとの事)で育てる。

・シロゴと同時に姉弟もしくは兄妹でサイと呼ばれる子供を産むこともたまにある。サイはエダ(分家)に里子に出される。

・シロゴは大抵カラゴ(いわゆる障害者ではとの事)で、一回きりの使い捨てだ。
・使ったら石(=ウヅガアさん?)で殴り殺す。同時にサイを戻して神様拝みをさせ、遠くの村に嫁・婿にやる。

・本家がつぶれてから(明治半ばくらいらしい)、エダで一番古かったカミのイッドーさんちが本家になったが、カミでは作法を知らなかったので、ワロを使った神様拝みはしなかった。ワロの鎮め方だけどうにか知っていた。


…嘘くさい!すげえ嘘くさい!! 伝奇ものホラーゲームの設定みたい!!
けど背筋が凍るほど怖いのは俺だけですか?

そんな訳で最近左右の目で見え方が変わってきている俺でした。
明日眼科行ってきます。
 
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リゾートバイト(後編)

非常に長い話ですので、追記に格納いたします。(PC閲覧の方のみ)

この記事は、リゾートバイト(前編)の後編となっております。
後日談は、リゾートバイト(後日談)をどうぞ。
 
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